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2014 年度 実施状況報告書

リケッチア感染症の病態解明のための実験学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 26461519
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

安藤 秀二  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (30360803)

研究分担者 阿戸 学  国立感染症研究所, 免疫部, 部長 (20392318)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードリケッチア / 遺伝子改変マウス / IFNγ / 一酸化窒素
研究実績の概要

リケッチア感染症の病態モデルは極めて限定的である。国内患者が最も多く,血清型により病原性も多様なOrientia tsutsugamushi (Ot)を中心に,in vivoとin vitro感染実験を行い,データの有機的結合,外挿により,リケッチア感染の免疫応答と病態発現機序の解明を目指す。また,世界中で維持される偏性細胞内寄生細菌リケッチアの多くがマイコプラズマに汚染されている。リケッチアと細胞の相互関係(免疫応答や病原性発現)は,マイコプラズマフリーの実験条件下ではじめて正確に把握できる。本研究はマイコプラズマフリーのリケッチア等を準備して進める。
まず初年度,実験の基盤となる複数のOt 血清型(標準株および分離株)計7株についてi/e/nNOS欠損(KO)マウスとその野生型C57BL/6マウスで腹腔内接種にてマイコプラズマ除去を試み,リアルタイムPCRによりマイコプラズマが除去されたことを確認した。続いて株化細胞L929細胞で実験用シードを大量培養し,再現性を検討しうる体制を整えた。
準備できたマイコプラズマフリーのOtを順次,リケッチアの細胞内殺菌に必要とされるNO産生を欠損するi/e/nNOS KOマウス,感染防御に強く関与するIFNγ KOマウス,C57BL/6マウスに腹腔内接種し,臨床症状を観察,体重減少等の人道的エンドポイントと接種2 週間を目途に解剖,各種所見を得るとともに,リケッチア量,各種サイトカイン等を測定した。KOマウスにおいて強毒株で体重減少が見られたが,野生型マウスで一部腹水の貯留を除き体重変化は明らかではなかった。また,血中のリケッチア量も強毒株で高いことが確認されるなど,血清型,マウスの種類により,臨床病態,リケッチアの増殖に明らかに差が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

すべてのOtの標準株についてマイコプラズマ除去に成功し,株化細胞でのシード作製も完了した。
野生型C57BL/6ほか,2系統のKOマウスに複数のマイコプラズマフリーのOtを接種し,株間,マウス間で臨床病態,リケッチア量が有意に異なるデータを得ており,一属一種のOtリケッチアにおいて株間で病態の違いを示せることが期待できる。

今後の研究の推進方策

一通り全て,Ot 標準株の強毒型 (Kato, Karp, Gilliam株)ならびに弱毒型 (Kawasaki, Kuroki株),これらのいずれとも抗原性が大きく異なるShimokoshi株のKOマウスならびに野生型マウスへの接種を同様に行い,接種後の臨床症状を観察,各種データを得,先に行ったin vivo実験とともに病理学的所見やサイトカイン等のデータを比較検討する。さらに,ヒト由来,マウス由来の各種系統の細胞へのin vitro感染実験をはじめ,in vivo実験のデータと比較する。また,in vivo実験において異なる病原性を示した株については,経時的な解析について必要性を検討する。
以上のin vivo およびin vitro 実験のデータを総合的に解析し,マウス系実験データとヒトの臨床的知見とを比較し,ヒト生体内での病態発現(発熱,発疹)および重篤化(DIC 等)に関与する因子などを推定する。研究データを有機的に結合,外挿することにより,ヒト生体内での発病環境に近い条件を検討し,リケッチア感染における免疫応答と病態発現機序を解明する。また,in vitro での病原性解析をより詳細に行うことを可能にするための,リケッチア感染に関与,リケッチアと宿主細胞の相互作用に関連する因子をin vivo 実験のデータより推定し,推定された因子やそのカスケードから,KO 細胞作製のための標的遺伝子の検索,設計を行う。
国内で多発するもう一つのリケッチア症のRickettsia japonica等についても同様にマウスでのマイコプラズマ除去を試みたが,マウスでの増殖に適さなかった。しかしながら,多様な病態発現を示すOtについて多数の株のマイコプラズマ除去に成功したことから,本実験系では当初の計画に沿ってOtを中心に進めることにした。

次年度使用額が生じた理由

年度末納品等にかかる支払いが平成27年4月1日以降となったため,当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。
平成26年度分についてはほぼ使用済みである。
また,2014年度開催予定であった国際会議が開催地(チュニジア)の都合によりキャンセルされ,2015年度開催となったため。

次年度使用額の使用計画

上記のとおり。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] リケッチア・クラミジアの基礎研究の話題2014

    • 著者名/発表者名
      安藤秀二
    • 学会等名
      日本感染症学会西日本支部会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      2014-10-23 – 2014-10-25
    • 招待講演

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公開日: 2016-05-27  

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