研究課題
ヌーナン症候群およびその類縁疾患の次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析手法を確立することを目的とし、PCRアンプリコン解析の条件検討をを行った。我々はこれまで、ヌーナン症候群およびその類縁疾患の遺伝子解析をキャピラリーシークエンサーで行ってきたが、その解析に使われたPCRプライマーをそのまま使用するための条件を検討した。最近新しい原因遺伝子として、RRAS、A2ML1、RASA2、SOS2、LZTR1が報告されているが、今回の解析対象遺伝子はPTPN11、HRAS、KRAS、BRAF、MEK1、MEK2、SOS1、RAF1、SHOC2、NRAS、CBL、RIT1の12遺伝子、150アンプリコンとした。1組ずつでのPCRの増幅条件は既にわかっているが、アニーリング温度は54℃‐62℃と幅が広かった。また、手技の簡略化および必要なDNA量を減らすため、1ウェル中で複数領域の増幅を行うマルチプレックスPCRでのアニーリング温度の条件検討を行った。まず25程度ずつ6分割したマルチプレックスPCRにおいてアニーリング温度を振って増幅の確認を行った。その結果、良好な増幅が得られたため、1ウェルでの増幅を行い、詳細な増幅の偏りの評価は読み取ったリードにより行うこととした。これまでの研究により、遺伝子変異陽性検体の集積があるため、それらを陽性対照としてデスクトップ型次世代シークエンサーにより塩基読み取りを行った。現在データ解析中である。これらの研究は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会での承認を受けている。本手法が確立されれば、これまで一人ひとり、一つ一つの遺伝子について順次行われていた解析が複数人について全ての対象遺伝子の解析が1回の実験で可能となり、効率化が達成できる。
3: やや遅れている
平成26年度中の解析系の確立を目指したが、次世代シークエンサーの不具合およびそのトラブルシューティングにより、塩基読み取りの開始が遅れた。multiplex PCRでの増幅は出来ていると考えられるが、次世代シークエンサーで読み取った結果の詳細な解析が必要である。
読み取り領域を詳細に解析し、必要があればプライマー濃度の調整、プライマーの変更・追加などを行っていく予定である。今後は陽性対照の解析をさらに行い、新規検体の解析も行っていく。当面はキャピラリーシークエンサーでの解析を併用する。
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