研究課題
ヌーナン症候群およびその類縁疾患の次世代シークエンサー(NGS)を用いた網羅的原因遺伝子解析系の確立において、これまでのサンガー法での遺伝子診断に用いるPCRプライマーをそのまま用いて解析を行うことを目指し、以下の方法で解析を行った。1)ゲノムDNAを鋳型にMultiplex PCRにて目的領域の12遺伝子、150アンプリコンの増幅を行なう。2)DNAを超音波にて断片化し、illuminaシークエンス配列を持つY字型アダプターをligation。3)P5、P7およびインデックス配列を付加するためPCRを行い、ライブラリを作成。4) illumina Miseqで読み取りを行った。その結果、概ね良好な塩基配列データを得ることができた。陽性対照における解析でも各変異の検出には成功しているが、アンプリコンの増幅高率が均等でなく、十分な量のリードでカバーされない領域が存在するため、さらにMultiplex PCRに使用するプライマーおよびMultiplex PCRの溶液内容の条件などの検討を行った。しかし2アンプリコンは毎回充分な増幅ができず、更に4-6アンプリコンは十分な増幅が得られない場合があった。すなわち約95%のアンプリコンは塩基配列決定が可能と考えられたが、残りの配列をどうすべきか、さらなる検討が必要と考えられた。また、当初の予想通り、ヌーナン症候群の新規原因遺伝子PPP1CBが昨年同定された。この遺伝子のプライマーをMultiplex PCRに追加すれば解析が可能である。これらの研究は、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会による承認を受けている。本手法が確立できれば、現状のサンガー法による一人ひとり、一アンプリコンずつの解析から、1回の解析により複数サンプル、12遺伝子以上の解析が可能となり効率化が達成できる。
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