研究課題/領域番号 |
26461521
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
平澤 孝枝 帝京大学, 理工学部, 講師 (10402083)
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研究分担者 |
中川 竜介 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10360603)
葛西 宏威 山梨大学, 総合研究部, 助教 (20324189)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミクログリア / 脳機能 / 免疫制御 |
研究実績の概要 |
本年度は母子分離ストレスのモデル動物作成法の確立を行った。これまでマウスの系統の差や結果の差がある事がわかっている。我々は本実験において以下の様にモデル動物を作成する事にした。 1)生後1日より他のケージにマウスを紙コップ容器に入れて母子、個々ともに隔離する。 2)隔離の時間は1時間(AM10:00~AM11:00) 3)約1週間分離実験を行う。 以上の方法でそれぞれの発達段階における脳、脾臓、胸腺のサンプル採取を行った。まず脳でのグルココルチコイド受容体の発現をウェスタンブロッティング法にて解析した。その結果、ストレス負荷マウスの生後14日齢の脳のグルココルチコイド受容体の発現は低下していた。一方でストレス負荷時である生後7日齢の発現には変化がなかった。その他脾臓のマクロファージの発現量に差はなかった。しかしながら組織化学解析による脳内ミクログリアの形態が活性化型のアメボイド様であった。この事はミクログリアがなんらかの刺激を受けて活性化もしくは未発達の形態である事を示唆している。今後これらの形態と変化について、また各組織との関連性について検討する必要がある。更に胸腺では分化マーカであるCD3の発現量には変化はなかった。本年度研究よりストレスに対する影響は1時間のストレスでも十分に生後の発達に影響がある事が示唆された。更にこの実験から、目があいていないすなわち視覚情報がないストレスで生後の脳機能に影響がある事が示唆され、今後ストレス負荷の状況に応じた発現変化の検討も必要である事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績より、母子分離モデル動物の作製として短時間の引き離し時間で十分結果が得られる事がわかった。また分離条件(いつから子供を話すか)によって標的の分子の発現に変化がある事も見い出された。これは生後の脳発達や免疫機能にも影響がある事が示唆できた。したがって来年度以降はターゲットとなる分子の発達段階による追跡を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
モデル動物のサンプリング時期をそれぞれ各発達段階で採取検討する。脳、脾臓、胸腺の発達の進み具合は個々によって違う事が本年度の解析で分かったため、共通の発達のマーカー分子やサイトカインなどを各発達段階で採取検討する。また、FACSサンプルの調整方法を検討することが必要である。細胞の同定にはFACS解析による細胞種の同定が必要である。これは免疫細胞の分化の過程は複雑で複数のマーカーより細胞種の同定が可能となるためである。サンプリング時に固定するなどの方法にて共同研究者と連携し細胞種の同定に勤める。
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