研究課題
生後1日目より7日間母子分離ストレスを与えたマウスを生後7日齢、14日齢の各発達ステージで脳、脾臓、肝臓を採取した。形態学的解析において、生後7日齢でミクログリアは脳室内からアメボイド様が浸潤するが、F4/80陽性細胞を持った細胞がコントロール群では確認された。しかし、母子分離群はF4/80陰性細胞のミクログリアであった。F4/80陽性のマクロファージは卵黄嚢由来と考えられるが陰性細胞は骨髄由来と示唆され、ストレスによってミクログリアの由来の違いがあることが示唆された。これらのミクログリアはOX42陰性細胞であるため活性化型ミクログリアではないと推察された。ウェスタンブロッティング法によって各組織のマクロファージ系タンパク質の発現量を測定した結果、生後7日齢の脳でミクログリア特異的タンパク質Iba1,CD11b/cの発現は母子分離群で有意に低下していた。一方脾臓では両群ともに差がなかった。したがって、脳内免疫システムは他免疫器官のとは別に独自で働いていることを示唆した。一般的に行われているセルストレイナーによる物理的な分離方法では脳組織では血球マーカーであるCD45陽性群においてほとんどが均一なCD11bの発現を示す細胞であった。一方、免疫組織染色の結果から F4/80の染色性が均一ではないことが示された。ミクログリアの表面抗原の染色性が均一ではなく、ヘテロな集団であることが示唆された。そこで、本研究ではFACS(フルオサイトメトリ-法)を用いてミクログリア細胞の細胞特性を解析した。その結果、より純粋なミクログリア細胞を単離することに成功し、更に、単離されたミクログリア細胞はFACS解析からその性質が3種類の集合に分けることが可能になった。発達時期によってその細胞集団の割合が変化することからミクログリア細胞の性質や機能が生後の発達や環境で変化することが示唆された。
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Genes Nutr.
巻: 12 ページ: -
doi: 10.1186/s12263-016-0550-2.
https://www.e-campus.gr.jp/staffinfo/public/staff/detail/2408/32