研究課題/領域番号 |
26461525
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
檜垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (90294321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 先天代謝異常症 / ライソゾーム病 / 病態解析 / 転写因子 / 脂質蓄積 / 酵素活性 / 神経変性 / 治療法開発 |
研究実績の概要 |
ライソゾーム病は先天性代謝異常症の一つの疾患群で、細胞内小器官ライソゾーム機能の遺伝的欠損により引き起こされる。私はこれまで、ライソゾーム病の中枢病変に有効な新規治療法として、ケミカルシャペロン療法の開発を行ってきた。一方で、ライソゾーム病の細胞病態の分子機構は未だ不明な部分が多い。これまで、モデルマウス脳組織のマイクロアレイ発現解析により、転写因子TFEBの発現が疾患脳で有意に上昇していることを見いだしてきた。TFEBはライソゾーム加水分解酵素やオートファジー・ライソゾーム分解系に関わる多くの因子の転写調節に関連する遺伝子で、ライソゾーム病細胞病態に深く関連することが示唆された。今回まず、ライソゾーム病の一つ、GM1-ガングリドーシス患者由来培養皮膚線維芽細胞に対し、ヒトTFEB cDNAおよび核局在型変異TFEB cDNA発現ベクターを用い、TFEBを過剰に発現させることで、種々の細胞病態に改善効果を示す結果を得た。今後は、他のライソゾーム病細胞に対し、同様の解析を行う。また、TFEB以外の転写因子の関与、またはTFEBと結合する他の因子に関し、効果試験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TFEBの発現上昇による、ライソゾーム病の細胞病態改善効果に関する予備的な知見が、一つの疾患細胞において得られた。今後の他のライソゾーム病に関しても同様の解析を進めてゆく。
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今後の研究の推進方策 |
TFEB cDNA発現ベクターを用いた過剰発現系により、種々のライソゾーム病線維芽細胞の細胞病態に対する効果を検討する。TFEBと相互作用するmTORなどの関与についても検討を行う。さらに、TFEBの活性を上昇させる化合物の効果を検討する。また、シャペロン化合物とTFEB上昇の相乗効果について検討する。
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