研究課題
本研究では、新規ヌクレオチド除去修復欠損性疾患の原因遺伝子を同定し、その分子機能を解明するため、以下の3つの課題に取り組んでいる。1)既知のNER修復遺伝子cDNAを組み込んだレンチウイルスライブラリーを作製し、これを利用した相補性試験により、コケイン症候群(CS)あるいは紫外線高感受性症候群(UVSS)症例のスクリーニングをおこなう。2)既知の原因遺伝子(CSA/CSB/UVSSA)に変異を持たない、CSあるいはUVSS患者のゲノムDNAサンプルを用いて、全エキソーム解析を行い、新規CS/UVSS責任遺伝子の同定を試みる。3)次世代ゲノム解析により、CSあるいはUVSS症例の責任因子候補とされた遺伝子について、siRNAおよびウイルス相補性試験等により真偽を検証の後、当該蛋白質の損傷部位への局在化、他のNER因子との相互作用など、細胞内機能調査、生化学的機能解析を実施する。本年度は、1)のウイルス相補性試験によるスクリーニング、2)の次世代ゲノム解析に取り組んだ結果、新規疾患責任遺伝子変異候補を複数得たので、3)の候補遺伝子の真偽の検証を進めた。新たに収集した検体については、引き続き1)と2)を実施した。
2: おおむね順調に進展している
3つの課題のうち2つについて適宜進めた結果、新規疾患責任遺伝子変異候補を複数得る事ができた。現在3つ目の課題を進行中であり、その中でより有力な候補を絞る事に成功しつつある。これらの結果から、来年度も順調に新規疾患責任遺伝子の同定とその機能解析を実施する事ができると期待される。
ウイルス相補性試験によるスクリーニングで責任遺伝子未知と判定された症例について、次世代ゲノム解析を行った結果得られた複数の疾患原因変異候補に関して、真偽判定を進め、疾患責任遺伝子変異を決定し、遺伝子の機能解析を進める。また、検体収集、ウイルス相補性試験によるスクリーニング、次世代ゲノム解析による新規疾患責任遺伝子探索を継続して実施する。
新規疾患責任遺伝子変異が原因である症例を抽出するための消耗品・試薬類、及び、候補症例について次世代ゲノム解析を行うための次世代ゲノム解析試薬類購入に使用する計画であったが、予定より早期に候補症例の絞り込み作業が進んだ事から、本年度に予定していた研究費を次年度へ繰越し、新規疾患責任遺伝子変異の決定とその遺伝子機能解析の為の費用とする事とした。
次世代ゲノム解析により候補となった複数の遺伝子変異について、真に疾患原因であるかの検証作業のための試薬及び消耗品に使用予定であるほか、同定遺伝子の機能解析のための分子生物学的実験に用いる試薬類の購入に使用する予定である。また、引き続き行う症例収集並びにスクリーニングにかかる消耗品・試薬類・次世代ゲノム試薬類購入に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Journal of Allergy and Clinical Immunology
巻: 136 ページ: 1007-1017
10.1016/j.jaci.2015.06.007.
http://www.nrgic.prj.nagasaki-u.ac.jp