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2014 年度 実施状況報告書

CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子治療に向けた基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26461530
研究機関北里大学

研究代表者

宮下 俊之  北里大学, 医学部, 教授 (60174182)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードCRISPR/Cas9 / 遺伝子編集
研究実績の概要

CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子治療に向けた基礎的研究として平成26年度はヒト細胞株であるHeLa細胞を用いて遺伝子編集を試みた結果、以下の2つの成果を得た。
1. ヒトがん抑制遺伝子であり、母斑基底細胞癌症候群(NBCCS)の原因遺伝子でもあるPTCH1を標的とするガイドRNAをコードするCRISPR/Cas9を複数作製しそのうちの2種類を様々な組み合わせでHeLa細胞に遺伝子導入した。2種類の標的配列の距離は10.5kb、34.6kb、70.0kbであったが、そのいずれにおいても上記の長さのゲノム領域を欠失したホモ接合性のクローンを得ることができた。
2. 一方、PTCH1遺伝子内のSNP部位でHeLa細胞でヘテロ接合性になっている部位の一方のアレルを標的とするCRISPR/Cas9を作製し、もう一方のアレルの配列を持つドナーDNAとともに遺伝子導入した。その結果ドナーDNAとしてPCR産物を用いると当該SNP部位をヘテロからホモ接合性に転換することができた。
1の成果は、今後作製予定のNBCCS患者由来iPS細胞において、残っている正常アレルを確実にノックアウトし、PTCH1遺伝子が完全に破壊されたiPS細胞を作製する際応用可能である。このような細胞は免疫不全マウスに移植した際NBCCSで発症する腫瘍を再現できる可能性があり、薬剤スクリーニングに有用である。
2の成果は、NBCCS患者由来iPS細胞において、変異アレルを正常アレルに転換させる際応用できる。このような正常遺伝子型に改変されたiPS細胞は新たなタイプの細胞治療につながると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト細胞株において当初予定していた遺伝子編集に成功したので、おおむね順調に進展していると判断した。
また今後はNBCCS患者由来iPS細胞を作製し、遺伝子編集の実施に進む予定であるが、北里大学をはじめ、共同研究を行う2機関(千葉大学、国立成育医療研究センター)すべてでiPSを用いる研究の承認が得られたのも評価に加えた。

今後の研究の推進方策

北里大学を含む3施設で倫理委員会の承認を得たことを受け、すでにNBCCS患者から繊維芽細胞を樹立してその一部でiPS化を開始しているところである。
今後は複数の患者由来iPS細胞を樹立して、各々の遺伝子変異に応じたベクターを作製し、遺伝子編集を行う予定である。
iPS細胞は必ずしも遺伝子導入の効率が高くない可能性もあり、その克服が課題となるかもしれない。

次年度使用額が生じた理由

本年度予定していたiPS細胞の培養が一部来年度になったため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

来年度は作製したiPS細胞を用いて遺伝子編集作業に入る予定である。iPS細胞の培養には一般的ながん細胞株に比べて培養試薬が高額になると予想される。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Mirror syndrome associated with fetal transient abnormal myelopoiesis in Down syndrome2015

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, Y., Miyoshi, T., Matsuyama, T., Miyauchi, J., Miyashita, T., Ishibashi-Ueda, H. and Yoshimatsu, J.
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/pin.12291

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Gorlin syndrome (nevoid basal cell carcinoma syndrome): Update and literature review2014

    • 著者名/発表者名
      Fujii, K. and Miyashita, T.
    • 雑誌名

      Pediatrics International

      巻: 56 ページ: 667-674

    • DOI

      10.1111/ped.12461

    • 査読あり
  • [学会発表] CRISPR/Cas9システムを用いたSNPジェノタイプ転換の試み2014

    • 著者名/発表者名
      高山吉永 初瀬洋美 中島早耶 鈴木香織 加藤千勢 長尾和右 亀山孝三 宮下俊之
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] CRISPR/Cas9システムを用いた広域欠損ゲノムを有する細胞株の作製2014

    • 著者名/発表者名
      長尾和右 加藤千勢 初瀬洋美 高山吉永 亀山孝三 宮下俊之
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] 卵巣腫瘍においてPTCH1遺伝子の セカンドヒットを同定したGorlin症候群の1例2014

    • 著者名/発表者名
      秋澤叔香 宮下俊之 佐々木亮 浦野真理 佐藤裕子 青木亮子 石谷健 山内あけみ 松井英雄 齋藤加代子
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第59回大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2014-11-19 – 2014-11-22
  • [学会発表] CRISPR/Cas9システムを用いたソニックヘッジホッグシグナル伝達系構成遺伝子ノックアウト細胞株の作製2014

    • 著者名/発表者名
      長尾和右 高山吉永 宮下俊之
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] CRISPR/Cas9システムによる欠失導入効率の検討2014

    • 著者名/発表者名
      加藤千勢 高山吉永 亀山孝三 初瀬洋美 長尾和右 宮下俊之
    • 学会等名
      第27回北里大学バイオサイエンスフォーラム
    • 発表場所
      北里大学(神奈川県相模原市)
    • 年月日
      2014-08-21 – 2014-08-22
  • [学会発表] Hedgehog signaling is synergistically enhanced by nutritional deprivation and ligands stimulation in human fibroblasts of Gorlin syndrome2014

    • 著者名/発表者名
      Mizuochi, H., Fujii, K., Shiohama, T., Uchikawa, H., Miyashita, T. and Shimojo, N
    • 学会等名
      Hedgehog 2014
    • 発表場所
      Ann Arbor, USA
    • 年月日
      2014-08-04 – 2014-08-08
  • [学会発表] Oxidative stress-induced JNK1 phosphorylation inhibits hedgehog signaling and osteoblast differentiation2014

    • 著者名/発表者名
      Fujii, K., Shiohama, T., Mizuochi, H., Uchikawa, H., Takatani, T., Kohno, Y. and Miyashita, T
    • 学会等名
      Hedgehog 2014
    • 発表場所
      Ann Arbor, USA
    • 年月日
      2014-08-04 – 2014-08-08
  • [学会発表] 母斑基底細胞癌症候群に発症した腫瘍の遺伝子解析2014

    • 著者名/発表者名
      宮下俊之 藤井克則
    • 学会等名
      第20回日本家族性腫瘍学会学術集会
    • 発表場所
      コラッセふくしま(福島県福島市)
    • 年月日
      2014-06-13 – 2014-06-14
  • [備考] 北里大学分子遺伝

    • URL

      http://www.med.kitasato-u.ac.jp/~molgen/

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公開日: 2016-05-27  

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