研究実績の概要 |
本研究では、小児肥満・メタボリックシンドローム(以下MS)に対する運動プログラムを作成し、その実践がマイオカインの分泌動態におよぼす影響を検討することを目的としている。最終的には、マイオカインの運動療法の効果判定のためのマーカーとしての有効性も検討することを目的としている。本年度の目的は小児MSの病態把握を目的とし、種々の代謝マーカーの変動について検討を行った。さらに、抗酸化の指標としても注目されている血中ビタミンD(VitD)値低下と肥満関連因子との関連性の検討した。 対象は肥満児16名(男:女=6:10、6歳1か月-17歳9か月)。血中25(OH) VitD濃度と身体測定値及び肥満関連因子を測定した。16名中7名はMSの基準を満たした。25(OH) VitDはMS群で有意に低下していた(15.3±2.3 ng/ml v.s. 21.3±1.9 ng/ml, p<0.05)。VitD欠乏(25(OH)D<20 ng/ml)の頻度は、MS群で有意に多かった(3/7名,42.9%v.s. 0/9名0.0%, p <0.05)。単変量解析で血清25(OH)D濃度はPTH(r=0.71, p <0.01), BMI(r=0.61, p <0.05), 腹囲(r=0.52, P<0.05), 尿酸(r=0.51, p <0.05)と負の相関を認めた。VitDは小児MSにおいても低下しており、肥満関連因子との関連が明らかとなった。小児においても病態進展に関与している可能性が考えられた。今後は身体活動レベルとの関連を引き続き検討する予定としている。また最終的な目的である小児MSにおけるマイオカイン分泌動態の検討のため、同一の対象においてマイオカインの解析もすすめ、血中ビタミンD濃度との関連も検討する予定としている。
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