研究実績の概要 |
対象は肥満度20%以上の6歳~16歳の44人(男児26人、女児18人)。軽度~中等度肥満は22人(男児14人、女児8人)、高度肥満は22人(男児11人、女児11人)。小児メタボリックシンドロームの基準に当てはまったのは18人。MSと非MSの比較では、年齢は両群間で有意差を認めなかった。腹囲、BMI,BMI-SDS、肥満度はMS群が有意に高値であった。皮下脂肪面積と内臓脂肪面積もMS群が有意に高値であった。 FPG, インスリン濃度, HOMA-R, ALT, HDL-C, TG、アディポネクチン濃度はMS群が有意に高値であった。CCL2の濃度の中央値は81.2 [13.9-343.3] pg/mL,CCL5は6,856.6 [210.2-84,773.0] pg/mL、CXCL9は90.53 [24.29-936.7] pg/mL、CXCL10は212.03 [27.74-522.7] pg/mLで。CCL2濃度はMS群が非MS群と比べ有意に高値であった。(138.4 pg/mL vs. 41.86 pg/mL, p<0.05). CCL2は FPGとのみ正の相関を示した。CCL5 はUAのみ正の相関を示した。CXCL9 はFPG とHOMA-Rで負の相関を示した。 CXCL10は 内臓脂肪面積、ALT、UA 、LDL-Cと正の相関、FPGと負の相関を示した。軽度~中等度肥満群では内臓脂肪面積はCXCL10濃度と正の相関を示したが、高度肥満群ではCCL2と正の相関を示した。 興味深いのは軽度~中等度肥満の児は内臓脂肪面積とCXCL10が相関を示したが、高度肥満になるとCCL2と内臓脂肪面積が相関を示していたことである。軽度肥満からMSに至るまで、初期はCXCL10、その後はCCL2が肥満の進行に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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