研究課題
多発奇形・精神遅滞をヒトにおける発生異常ととらえ、その病因を明らかにすることを目的に、全エクソーム解析による網羅的な遺伝子・ゲノム異常スクリーニングを計画した。対象としては、現在までにマイクロアレイCGHを終え、臨床的に既知疾患を否定した症例を選択した。文部科学省科学研究費新学術領域研究(研究領域提案型)「ゲノム科学の総合的推進に向けた大規模ゲノム情報生産・高度情報解析支援」(ゲノム支援)のサポートを得て解析を進めた。最初に染色体G分染およびマイクロアレイ染色体検査でスクリーニングを行い、変異を認めないケースについて、全エクソーム解析を実施した。キャプチャーはAgilent SureSelect V5+UTRsで、HiSeq 2500を用いて、Paired endでランを実施した。参照ゲノムはhg19 assemblyに基づき、dbSNP 135, NHLBI Exome Sequencing project、1000 genomesを用いた。データ解析パイプラインはBWA、Samtools、GATK、ANNOVARで構成した。Z-scoreによるデータのCNV変換も行った。31症例に対して全エクソーム解析を実施した。多発奇形・精神遅滞20家系(同胞発症7家系)、先天性心疾患5家系(同胞発症4家系)、その他の先天異常6家系(同胞発症3家系)であった。多発奇形・精神遅滞で7例、その他で2例、合計9家系で疾患特異的変異を検出することができた。現在も家系解析を含め、解析継続中である。先天性心疾患同胞例、並びにその他の先天異常では、同胞例にもかかわらず、疾患特異的変異を検出することができていない。未同定家系では新規の病因遺伝子異常に由来する可能性がある。引き続きの検討が今後の課題である。
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Horm Res Paediatr
巻: 87 ページ: 271-276
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Congenit Anom (Kyoto)
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Human Genome Variation