研究課題/領域番号 |
26461543
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
城所 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20647466)
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研究分担者 |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (40343206)
夏目 淳 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422771)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MRI / 発達障害 / 拡散テンソル画像 / 三次元画像 / 早産児 |
研究実績の概要 |
極低出生体重児(1500g未満児)の約50%に自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害、知的障害といった後障害を認めるが、原因となる脳の病態生理は依然解明されていない。本研究では、脳MRI画像技術、特に最新の脳表面解析法、安静時機能的MRI技術を含め、MRI解析技術をフル活用し、極低出生体重児に認める発達障害に特有な脳構造の異常を明らかにし、発達障害の早期画像マーカーを発見することを目的とする。発達障害の早期発見、早期支援体制の構築は医療現場のみならず、家庭、教育、保健、福祉の観点から重要課題である。平成26年度は、名古屋大学医学部の生命倫理委員会での研究承認を得た上で、順調に対象症例の登録が進み、現在約30例の早産児で新生児期の頭部MRI画像の撮像を終了した。得られた画像の一部は、画像解析プログラムとソフトウエアを用いて解析を順次行っている。平成26年度の成果の一つは、早産児脳波に観察される脳波成熟遅延の所見が、拡散テンソルMR画像における脳梁の成熟遅延、MRスペクトロスコピーにおける視床の成熟遅延あるいは障害と関連することを明らかにした。この成果は、古典的検査法である早産児脳波から得た過去の知識体系と、最新のMRI技術から得られる今日の知見との間を繋ぐ重要な成果であり、早産児脳の機能的成熟遅延が、将来の発達障害とも関連する可能性を抱かせる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は研究対象の新規登録と、新生児期に施行した頭部MRI画像の解析、6歳児の頭部MRI画像の撮像を施行する計画であった。私共は現在約30例の早産児を新規に研究登録した。また、得られたMRI画像の一部を用いて画像解析も進めており、研究計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は、引き続き6歳時のMRIの撮像を継続すること、6歳の神経学的評価、知能評価、発達評価を継続すること、MRIの画像解析を継続すること、6歳の評価から得た結果をもとに発達障害の有無により2群に群分けを行い、脳構造の差異を明らかにする。また、新生児期から6歳までの画像所見の経時的変化も明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた画像解析法の中で、安静時機能的MRI画像解析の工程を次年度に繰り越し、平成27年度に予定していた画像解析の一部を平成26年度に施行した。そのため、安静時機能的MRI解析に必要なコンピュータと画像解析プログラムを次年度に購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度以降は一層、画像解析を推進する目的で、作業高率を高めるために高性能ワークステーションを購入し、MRI解析作業を強化する。また、安静時機能的MRI解析に必要なコンピュータと画像解析プログラムを購入する。
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