研究課題/領域番号 |
26461544
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
和田 敬仁 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70359727)
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研究分担者 |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
伊藤 慎悟 熊本大学, その他の研究科, 助教 (20466535)
新保 裕子 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), その他部局等, その他 (50724663)
小坂 仁 自治医科大学, 医学部, 教授 (90426320)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クレアチン / 知的障害 / 発達障害 / 先天性代謝異常 / iPS細胞 / トランスポーター |
研究実績の概要 |
脳クレアチン欠乏症候群は、脳内のクレアチン欠乏により、知的障害を主症状として、てんかん、自閉症、言語障害を特徴とする疾患である.特に本研究においては、クレアチントランスポーター欠損症の病態解明が本研究の目標である. 1.クレアチントランスポーター欠損症患者検体(皮膚線維芽細胞)を用いた病態解析 患者の尿、血清、髄液におけるクレアチンを測定し、腎臓におけるクレアチン再吸収機能を測定することにより、神経細胞におけるクレアチン取り込み能を推定する方法の確立することを目的としている. 今年度は、In vitroクレアチントランスポーター発現系及びラット腎臓組織を用いて、クレアチントランスポーターのタンパク質の絶対定量系を構築、単分子輸送活性の評価系を確立した。また、患者由来皮膚繊維芽細胞の細胞膜におけるクレアチントランスポーター発現量を質量分析による用いた定量プロテオミクスを用いて解析し、患者由来皮膚繊維芽細胞では野生型と同程度のクレアチントランスポータータンパク質が発現していたがクレアチン輸送活性が低下していることが示された。 2.クレアチントランスポーター欠損症患者由来iPS細胞を用いた解析 患者由来iPS細胞から分化させた神経細胞を用いて、クレアチントランスポーターの輸送動態解析し、有効薬剤のスクリーニングにより形態異常あるいは機能を改善する薬剤の検出を行うことを目的としている.今年度は患者由来のiPS細胞の樹立は成功した. 3.LCMSを用いた病態解析方法の開発 患者の診断や病態把握のためには、生体試料(尿、血清、髄液)を用いたグアニジノ化合物(クレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸)の分析が重要である. 今年度は、本研究では、HPLCにMSをつなげたLCMSを用いて、グアニジノ酢酸の検出系をするためのカラムの選定、溶離液条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.クレアチントランスポーター欠損症患者検体(皮膚線維芽細胞)を用いた病態解析 (おおむね順調に進展している)本年度は、In vitroクレアチントランスポーター発現系及びラット腎臓組織を用いて、クレアチントランスポーターのタンパク質の絶対定量系を構築、単分子輸送活性の評価系を確立した。また、患者由来皮膚繊維芽細胞の細胞膜におけるクレアチントランスポーター発現量を質量分析による用いた定量プロテオミクスを用いて解析し、患者由来皮膚繊維芽細胞では野生型と同程度のクレアチントランスポータータンパク質が発現していたが、クレアチン輸送活性が低下していることが示された。 2.クレアチントランスポーター欠損症患者由来iPS細胞を用いた解析 (やや遅れている) 患者由来iPS細胞から分化させた神経細胞におけるクレアチントランスポーターの輸送動態解析し、有効薬剤のスクリーニングにより形態異常あるいは機能を改善する薬剤の検出を行う予定である.今年度、患者由来iPS細胞の樹立は成功している.倫理委員会の承認を待ち、研究を継続する予定である. 3.LCMSを用いた病態解析方法の開発 (おおむね順調に進展している) 今年度は、HPLCにMSをつなげたLCMSを用いて、グアニジノ酢酸の検出系をするためのカラムの選定、溶離液条件検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1.クレアチントランスポーター欠損症患者検体(皮膚線維芽細胞)を用いた病態解析 (a)現在までにクレアチントランスポーター欠損症の6家系を集積しているが、今後、異なる変異をもつ患者由来細胞を用いる解析を進めることにより、クレアチントランスポーター欠損症の病態解明に役立つことが期待される.(b)クレアチントランスポーターのクレアチン輸送機能異常が細胞膜輸送タンパク質および細胞内シグナルに与える影響を解明するために、クレアチントランスポーターをノックアウトしたHEK293細胞をモデル細胞として網羅的定量プロテオミクスを用いて解析し、クレアチントランスポーター機能低下が細胞に与える影響を明らかにする。(c)クレアチントランスポーターの単分子輸送活性評価に基づいて、腎臓におけるクレアチン再吸収機能を予測する方法の確立を行う。 2.クレアチントランスポーター欠損症患者由来iPS細胞を用いた解析 平成27年度に患者由来iPS細胞の樹立を完了したので、平成28年度は倫理委員会の承認を待ち、iPS細胞から神経細胞への分化、シナプス構造などの微細構造以上の有無、神経細胞におけるクレアチントランスポーターの輸送動態解析を行う予定である. 3.LCMSを用いた病態解析方法の開発 本研究は、最終的に有効薬剤の開発にあり、研究推進には患者由来検体が必須である.日本国内における診断数は未だ少ないため、臨床家に本疾患を周知させるとともに、検体の診断システムを確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた値段から、値下げされたため、521円の来年度への持ち越し金となりました。
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次年度使用額の使用計画 |
持ち越された521円分は、来年度の消耗品購入に充てたいと考えています。
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