研究課題
デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける病態の主体は筋組織の壊死・再生であるが、私たちはプロスタグランジンを中心とする炎症が疾患の進行に大きく関わっていることを明らかにし、それを制御する新たな治療法の開発を行っている。一方、私たちは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する分子治療であるエクソンスキッピング誘導治療、ナンセンス変異リードスルー誘導治療の有効性を明らかにし、臨床への応用を進めている。しかし、これらの分子治療における炎症性物質の関与は明らかではない。本研究では、分子治療によるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治癒過程における炎症性物質の動態を明らかにし、これらの因子を修飾することによる分子治療効果をさらに高める治療戦略を見いだすために、これらの治療法に関して、in vitro、in vivoでの検討を行っている。本年度は、エクソンスキッピング誘導治療の有効性をさらに広げるために、筋ジストロフィー症例における分子病態の解析を行い、新たな病態に伴うスプライシング異常を見出した、さらに、前年度に引き続き、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる長期治療の検討を行い、運動機能・mRNAレベルに加え、蛋白レベルにおける有効性の検討を進めた。また、治療過程におけるプロスタグランジンなどの炎症性物質の解析を行った。これらの結果は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する分子治療において、炎症性物質を制御することによりその有効性を高めることができる可能性を示唆するものであった。
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Genes
巻: 8 ページ: 67
10.3390/genes8020067