研究実績の概要 |
原因不明で治療法の確立していない指定難病である亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の病態解析として、エキソーム解析での責任遺伝子同定と、患者iPS細胞から分化させた神経細胞と組み換え麻疹ウイルスを用いての機能解析を計画した。 エキソーム解析による責任遺伝子の同定については3家系8検体の親子例(1家系は母子のみ)での解析(HiSeq2000, Illumina社)を行った。シークエンスのクオリティは解析可能であった。近親婚のあるトルコで発症頻度が高いことから劣性遺伝が考えられ、候補遺伝子については、解析対象の家系が近親婚のない家系であり複合ヘテロ変異を想定して解析を行ったが、期間内には同定できなかった。 患者iPS細胞の樹立に関しては、3名の患者末梢血単核球から4遺伝子(Sox2, KLF4, Oct4, Myc)をセンダイウイルスベクターで導入する方法を用いて樹立することができた。細胞分化マーカーを用いて三胚葉への分化を確認したが、奇形腫の確認実験は実施できていない。プロトコールに従い、培養条件および神経細胞への分化を行いNestin、Pax6陽性の神経前駆細胞へと分化した。さらに神経前駆細胞をSFEB-quick法で培養したところロゼットを形成し、SOX2の発現を確認した。正常成人由来iPS細胞と比較して神経細胞の分化段階において有意な差は認めなかった。神経幹細胞からグリア細胞の分化実験を並行して行い確認をしている段階である。今後感染実験を行い解析を進める予定である。
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