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先天性無痛無汗症は温覚・痛覚の欠如と発汗障害に加えて、精神遅滞や多動傾向などの中枢神経症状を伴う常染色体劣性遺伝疾患である。その原因は、チロシンキナーゼ型神経成長因子受容体遺伝子NTRK1の機能喪失性変異である。本研究では、NTRK1遺伝子の発現が相対的に多い健常者の脳領域を探索した。得られた結果と患者の神経学的症状や行動解析をもとに、この遺伝子を発現している脳領域のはたらきについて調べた。これらの脳領域は、痛みや交感神経系による生体の恒常性維持、さらに情動反応に重要なはたらきをしている脳領域と連絡している。患者にみられる中枢神経症状は、これらの領域のニューロンの機能障害によると推定される。
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