研究課題/領域番号 |
26461550
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
瀬戸 俊之 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60423878)
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研究分担者 |
田中 あけみ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30145776)
濱崎 考史 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40619798)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ムコ多糖症 / 髄膜炎 / サイトカイン / プテリジン / ネオプテリン / ムンプスウイルス / エンテロウイルス / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
ライソゾーム病とりわけムコ多糖症は欠損酵素を補充することによる根本治療が可能になった。しかしながら知能障害などの中枢神経症状には無効である。我々はムコ多糖症で知能障害が生じるメカニズムとして慢性炎症の関与を想定し、そのメカニズムの解明に着手した。平成26年度は頭蓋内炎症性疾患の病態解明の研究成果としてウイルス性髄膜炎におけるサイトカイン動態の解析結果が英文誌に発表し受理された。この研究では無菌性髄膜炎の重症度のスコア化を試み、原因となった感染病原体(主にムンプスウイルスとエンテロウイルス)と各種サイトカインとの関連を解析している。臨床的重症度の評価は困難な作業であったが、このような検討は世界初であり、ムンプス髄膜炎重症化とサイトカインとの関連が明らかになった。 平行してムコ多糖症III型患者家族に当該研究に関する説明と同意を得た上で患者より血液検体を採取し、プテリジンおよびサイトカイン解析を行った。同様にムコ多糖症II型患者からも血液検体を得て、血清中のプテリジン解析を行った。サイトカイン分析を行う予定である。患者由来の血液からiPS細胞からの分化誘導を行い、種々の小児稀少疾患を対象とした研究プラットフォームが構築されつつある。このシステムによりムコ多糖症III型患者からiPS細胞樹立に向けて、リンパ球の採取と前処理を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は本研究の土台となる前述の研究成果発表を完成させることができた。さらにムコ多糖症III型患者由来iPS細胞の維持、解析にも着手する予定であったが、宿主反応解析としてプテリジンとサイトカインプロファイルの解析を優先した。
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今後の研究の推進方策 |
ムコ多糖症III型の症例数が限られていることから、国内のムコ多糖症病型の中で多数を占めるII型症例についても対象を広げて評価を行いたいと考えている。ムコ多糖症のみならず、13で後述する当科で経験している持続性全般性棘徐波放電をもつてんかん症候群や自閉性障害を伴う種々の小児神経疾患とも比較検討しながら病態解明に取り組みたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り研究の進行計画に若干の変更があったため、予定していた物品、試薬の使用が次年度への繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究を進行させるために、必要な物品および実験に要する消耗品を平成27年度にあわせて計上し使用する予定である。
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