研究課題
我々は先天性ムコ多糖症の知能障害と自閉症様症状において、その病態の基礎に慢性炎症があるという仮説をたてて平成26年度から本研究を開始した。中枢神経内の炎症評価の一環として、平成27年度にはウイルス性髄膜炎におけるサイトカイン動態の解析結果を発表し英文誌に掲載されている。この論文では患者の中枢神経症状の重症度分類を考案し、サイトカイン分析結果との関連を解析した。平成27年に先天性ムコ多糖症研究の主要な研究分担者であった田中が急逝したため研究の進行が一時的に遅滞したが、再び平成28年から29年度にかけてムコ多糖症および自閉症患者についてさらなる対象を広げ検討を行った。先天性ムコ多糖症は全病型をあわせても国内での患者が200名に満たないため極めて対象者が少ないがその中でも先天性ムコ多糖症IIIB型患者は稀である。したがってIIIB型に先天性ムコ多糖症II型患者も対象に加えて、血清中プテリジンおよびサイトカイン解析や細胞障害マーカーの測定を重ね、データ解析を行なっている。さらに平成28ー29年度には中枢神経内の病態解析にかかせない先天性ムコ多糖症患者の髄液採取を施行しえたので、頭蓋内の炎症評価に加えて神経細胞障害について解析を行うことができた。現在投稿に向けてデータ分析を行っている。最終年度である平成29年度にはムコ多糖症II型のモデルマウスを用いた病理学的研究をなしえることができた。これらについてもデータをもとに現在投稿準備中である。一方、対象となる自閉症については発症の基礎病態は多岐にわたるため、平成28年度から29年度は先天性ムコ多糖症以外の自閉症患者における自発症の遺伝的背景に焦点をしぼり全エクソーム解析などの手法を用いた遺伝学的診断を施行した。行動評価、てんかんなどの種々の合併症も含めた検討を行い、学会および論文発表を行っている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 9件、 招待講演 7件)
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