研究課題/領域番号 |
26461553
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浦上 達彦 日本大学, 医学部, 准教授 (60223616)
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研究分担者 |
鈴木 潤一 日本大学, 医学部, 助教 (00573825)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児 / 1型糖尿病 / micro RNA / 発症機序 / 発症予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、小児1型糖尿病児におけるmicro RNA多型の有無およびその機能を明らかにし、発症予防法の確立、疾患発症機序の発見や疾患重症化因子の解明、治療法の開発などを通して本症を有する患者および家族の診療に寄与するとともに、成育医療研究の進展に貢献することを目的としている。 既報で確認されている標的細胞である膵β細胞における発生・分化およびアポトーシスに関連するmicro RNA、免疫担当細胞の発生・分化および免疫調節に関連するmicro RNA、1型糖尿病発症早期に血清中での変化が認められているmicro RNAから69のmiRNAを解析候補として抽出した。解析対象者として、日本小児インスリン治療研究会第3コホートに登録される小児1型糖尿病児約700例から、発症時におけるインスリン抗体、GAD抗体、IA-2抗体の膵島関連自己抗体いずれかが陽性かつ、診断時において血中インスリンもしくは血中Cペプチドの低値を認め、インスリン分泌能低下が確認できた症例187例を解析対象者として抽出した。これらの対象者の保存DNAサンプルを用いて、候補micro RNAをターゲットとしたアンプリコンシークエンス(イルミナ社 TruSeq Custom Amplicon Project)を次世代シークエンサー(イルミナ社 Miseq)にて解析を行った。現在、187例の解析をそれぞれ2回施行し、いずれの例においてもDNAからのアンプリコンシークエンスの際に形成するクラスターが不十分もしくは過剰形成となり、シークエンサーでの解析判別が不可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保存検体であるDNAサンプルを用いた解析において、アンプリコンシークエンスにおけるクラスター形成が確実になされず、1回目、2回目の解析ではともに結果が得られなかった。現在のmicroRNAに関する研究において、そのターゲットも徐々に明らかになってきていることもあり、多型のみで疾患発症の機序を説明することについても困難が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
候補miRNAをターゲットとしたアンプリコンシークエンスでは同サンプルで再度解析が困難な状況である。他に利用可能な保存血清から候補microRNAの発現解析を実施し、発症からの罹病期間でのmicroRNA発現量について解析を進める。また、対象とした小児1型糖尿病患児において、新しく利用できるようになったZnT8抗体を測定し、microRNA発現量と膵島関連自己抗体との関連について新たに解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
保存検体であるDNAサンプルを用いた解析で、アンプリコンシークエンスにおけるクラスター形成が確実になされず、1回目、2回目ともに結果が得られなかった。このような理由により研究の進行が遅れており、計画していたDNAサンプルを用いてのアンプリコンシークエンスが困難であった。そのため解析に使用する費用が次年度に繰り越されている。
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次年度使用額の使用計画 |
NAサンプルでのアンプリコンシークエンスが困難であり、候補microRNAを含めた、血清サンプル中のmicroRNA発現解析およびZnT8抗体の測定を新たに実施する。microRNA発現解析についてはTaqMan MicroRNA Assaysを用いリアルタイムpcr産物にて定量解析する。ZnT8抗体測定に関してはSRLに解析委託し定量解析を行う。その結果よりmicroRNA発現と膵島関連自己抗体との関連について解析する。
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