ダウン症児は、白血病発症リスクが健常児の10-20倍高いと言われている。約10%ものダウン症新生児が、未熟な巨核球が一過性に増殖する血液疾患(TAM)を発症し、また、その約20%が巨核球性白血病(ML-DS)へ進行する。本研究の目的は、ML-DS発症の分子機構を明らかにすることである。 TAMとML-DSのほぼ全例に、巨核球系転写因子GATA1の遺伝子変異が検出される。本研究では、細胞の生存と増殖を支持するKIT遺伝子の発現制御にGATA1変異が影響を及ぼすことを明らかにした。一方、ML-DSで高頻度に遺伝子変異が検出されるコヒーシン複合体については、遺伝子発現制御への影響を調査中である。
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