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2015 年度 実施状況報告書

ダウン症候群関連急性リンパ性白血病の発症機構の解明と新規分子標的の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26461560
研究機関弘前大学

研究代表者

照井 君典  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00333740)

研究分担者 土岐 力  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50195731)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードダウン症候群 / 急性リンパ性白血病 / 分子標的治療 / シグナル伝達 / RAS / FLT3 / JAK / CRLF2
研究実績の概要

ダウン症候群関連急性リンパ性白血病(DS-ALL)は、高2倍体やt(12;21)などの予後良好な染色体異常の頻度が低く、予後不良であることが知られている。また、ダウン症候群の患者は抗癌剤に対する認容性が低く治療関連死の割合が高いため、分子標的治療のような毒性の低い治療が求められている。DS-ALLにおける遺伝子異常は長らく不明であったが、最近欧米のグループからDS-ALLの約20%でJAK2遺伝子の活性化変異、約60%でCRLF2遺伝子の高発現がみられることが報告された。しかし、我々の先行研究により、本邦のDS-ALLでは上記の異常の頻度はそれぞれ16%、33%であり、欧米よりも頻度が低いことが明らかになった。そこで、CRLF2-JAK経路以外の遺伝子異常を明らかにするために、本邦のDS-ALL37例の診断時骨髄を用いてRTK-RAS経路の遺伝子変異の解析を行った。RTK-RAS経路の変異は37例中16例(43%)と高頻度で認められ、その頻度は最近欧州のグループから報告された頻度(36%)とほぼ同様であった。RTK-RAS経路の変異の中で最も多かったのはFLT3の変異であり、37例中7例で認められた(19%)。欧米のDS-ALLではFLT3の変異は比較まれ(7%)であり、FLT3の変異が多いのは本邦のDS-ALLの特徴かもしれない。CRLF2-JAK経路の遺伝子変異は37例中7例(19%)で認められ、RTK-RAS経路の変異とは相互排他的であった。RTK-RAS経路の変異の有無と臨床像との関連について解析したが、変異陽性群と陰性群との間で、年齢、性別、診断時白血球数、NCIリスク分類、染色体・遺伝子異常、無イベント生存率、全生存率に違いはみられなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、本邦のDS-ALL37例の診断時骨髄を用いてRTK-RAS経路の遺伝子変異の解析を行った。RTK-RAS経路の変異は37例中16例(43%)と高頻度で認められ、その頻度は最近欧州のグループから報告された頻度(36%)とほぼ同様であった。RTK-RAS経路の変異の中で最も多かったのはFLT3の変異であり、37例中7例で認められた(19%)。欧米のDS-ALLではFLT3の変異は比較まれ(7%)であり、FLT3の変異が多いのは本邦のDS-ALLの特徴かもしれない。CRLF2-JAK経路の遺伝子変異は37例中7例(19%)で認められ、RTK-RAS経路の変異とは相互排他的であった。RTK-RAS経路の変異の有無と臨床像との関連について解析したが、変異陽性群と陰性群との間で、年齢、性別、診断時白血球数、NCIリスク分類、染色体・遺伝子異常、無イベント生存率、全生存率に違いはみられなかった。

今後の研究の推進方策

本邦のDS-ALL 37例中23例(62%)でRTK-RAS経路またはCRLF2-JAK経路の遺伝子変異が認められたが、残りの14例(38%)では認められなかった。これらの症例では、RTK-RAS経路とCRLF2-JAK経路以外のシグナル伝達経路に遺伝子異常が存在する可能性がある。次年度は、これらの症例を対象にRNA-seqを行い、新規融合遺伝子の検出を試みる。また、最近DNAのメチル化の異常がDS-AMLの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになった。DS-ALLの発症にもDNAのメチル化の異常が関与している可能性があり、十分なDNA検体が残っている症例について、網羅的なDNAメチル化解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] RAS pathway mutations in Down syndrome-associated acute lymphoblastic leukemia in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Ito T, Terui K, Hanada I, Ikeda F, Toki T, Kanezaki R, Sato T, Kamio T, Kudo K, Sasaki S, Takahashi Y, Hayashi Y, Inukai T, Hori H and Ito E
    • 学会等名
      57th American Sciety of Hematology Annual Meeting
    • 発表場所
      Orlando, United States of America
    • 年月日
      2015-12-05 – 2015-12-08
    • 国際学会
  • [学会発表] ダウン症候群関連急性リンパ性白血病におけるRAS経路の遺伝子変異2015

    • 著者名/発表者名
      伊東 竜也, 照井 君典, 花田 勇, 池田 史佳, 土岐 力, 金崎 里香, 佐藤 知彦, 神尾 卓哉, 工藤 耕, 佐々木 伸也, 高橋 良博, 林 泰秀, 犬飼 岳史, 堀 浩樹, 伊藤 悦朗
    • 学会等名
      第57回日本小児血液・がん学会学術集会
    • 発表場所
      甲府富士屋ホテル(山梨県・甲府市)
    • 年月日
      2015-11-27 – 2015-11-29
  • [学会発表] Gene alterations in Down syndrome-associated acute lymphoblastic leukemia in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Terui K, Hanada I, Ikeda F, Ito T, Toki T, Kanezaki R, Sato T, Kamio T, Kudo K, Sasaki S, Takahashi Y, Hayashi Y, Inukai T, Hori H, Ito E
    • 学会等名
      第77回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂外(石川県・金沢市)
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-18

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公開日: 2017-01-06  

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