ダウン症候群の急性リンパ性白血病(DS-ALL)の発症機構を解明し新規分子標的を同定するために本研究を行い、以下の成果を得た。 1.本邦のDS-ALLの約40%にレセプターチロシンキナーゼ(RTK)-RAS経路、約20%にCRLF2-JAK経路の遺伝子異常が認められ、両者は相互排他的であった。RTK-RAS経路とCRLF2-JAK経路は分子標的治療の有力な候補と考えられた。 2.エピゲノム制御因子の遺伝子変異は、RTK-RAS経路の変異もCRLF2-JAK経路の変異も持たない症例の約半数に認められた。これらの症例にはエピジェネティック治療薬が有用である可能性が示唆された。
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