研究課題/領域番号 |
26461561
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 耕 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20455728)
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研究分担者 |
土岐 力 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50195731)
佐藤 知彦 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (70587005) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫細胞療法 / 抗体療法 / 遺伝子改変 / T細胞 / 抗体依存性細胞性障害 |
研究実績の概要 |
強力な抗体依存性細胞傷害性を発揮するシグナル伝達の改良に関して、はじめに強力な抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を発揮する効果的なキメラ型受容体のシグナル伝達分子の組み合わせの同定を行うため、以下の実験を行った。細胞傷害性シグナルとしてFcRⅠを追加した新規受容体を作成し、遺伝子導入を行い、遺伝子導入効率、受容体発現効率、抗体依存性細胞傷害作用を評価した。活性化したヒトT細胞にレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行い、細胞表面の受容体CD16の発現を抗CD16蛍光標識抗体によりFACSで測定したところ、受容体発現効率は約85〜90%とFcRⅠを追加する前と比較し、有意な差が認められなかった。次に、新規受容体を遺伝子導入したT細胞の抗体依存性細胞傷害性を測定した。細胞株Daudiと遺伝子改変T 細胞をRituximabの存在下に共培養し、細胞株Daudiに対する細胞傷害性試験を行った。既存の受容体の細胞傷害性と比較したところ、新規受容体遺伝子導入細胞の抗体依存性細胞傷害性は既存のものに比べ有意に低かった。
複数の抗体を併用した場合の抗体依存性細胞傷害作用に関しては、異なる複数の抗体製剤を使用する標的細胞として、複数のがん特異抗原発現細胞株モデルを作成した。白血病細胞K562にCD20とHer2を強制発現する細胞株を作成し、2つの分子を同時に発現する細胞株を作成した。
薬剤投与によるがん特異抗原の発現増加に関して、一部のHDAC inhibitor処理により急性Bリンパ性白血病細胞株のCD20発現が亢進することから、複数の候補薬剤処理後のCD20の発現を評価した。一部の薬剤においてはCD20の発現が亢進することをFACSで確認した。さらに、固形腫瘍細胞株において同様の実験を行い、候補薬剤処理後のがん特異的抗原の発現解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者に関して、大学院生が確保できず、分担研究者の退職があった。時間的制約がある実験補佐技術員のみとなり、実験手技習得に時間を要しているため予定より達成度が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は複数の抗体製剤併用時の抗体依存性細胞傷害性の評価を進め、既存のキメラ型受容体の効果を増強する抗体製剤及び薬剤の組み合わせを同定し、動物実験で効果を証明する。薬剤スクリーニングは当初の予定よりコストがかかることが判明し、候補薬剤の数を減らして実験をおこなう必要があると思われる。
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