研究課題/領域番号 |
26461562
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹原 洋二 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60372314)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝子 / シグナル伝達 / 血液学 / トランスレーショナルリサーチ |
研究実績の概要 |
小児期に発症する遺伝性血小板減少症は免疫性血小板減少症(Immune Thrombocytopenia; ITP)との鑑別に重要であり、適切な治療法選択のために鑑別診断が必要な疾患である。昨年度まで、本邦における遺伝性血小板減少症を疑う症例の蓄積を行い、その臨床的および遺伝学的解析を行ってきた。その結果として、WAS異常症、RUNX1異常症、ANKRD26異常症の症例を遺伝子変異を同定して確定診断し、臨床に還元してきた。更に、橈骨尺骨癒合を伴う遺伝性血小板減少症の新規原因遺伝子としてEVI-1遺伝子異常を発見し、同じ機能ドメインに変異を有する本邦3症例の解析結果を英文論文として報告した。 今年度は、引き続き本邦における遺伝性血小板減少症疑い症例を全国から解析依頼があったため、小型・正常大の血小板を有する遺伝性血小板減少症の遺伝子解析を継続して行った。その結果、新規にWAS異常症、RUNX1異常症、ANKRD26異常症およびEVI-1異常症の症例を確定診断している。EVI-1異常症においては、その機能解析を細胞レベルで行い、血液細胞株での遺伝子転写調節異常のメカニズムを解析した。これらの解析結果は、論文総説および学会、研究会発表や招待講演にて報告を行っている。 しかしながら、解析依頼のあった症例の中には既知遺伝子解析では遺伝子変異を同定できなかった症例が多数存在した。これらの患者本人および同意の得られた両親のDNA検体をトリオ検体として保存し、アレイCGH法およびエクソーム解析を開始したところである。これにより2症例以上に同一の遺伝子変異が認められる場合は新規原因遺伝子の可能性が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
WAS異常症、RUNX1異常症、ANKRD26異常症、EVI-1異常症の症例を遺伝子変異を同定して確定診断し、引き続き本邦における遺伝性血小板減少症疑い症例において小型・正常大の血小板を有する遺伝性血小板減少症の遺伝子解析を継続して行った。この解析結果を臨床に還元すすとともに、論文総説および学会・研究会にて報告を行った。既知遺伝子解析では遺伝子変異を同定できなかった症例において患者本人および同意の得られた両親のDNA検体を保存しているが、当初予定していたこれらの検体を用いたアレイCGH解析とエクソーム解析がまだ完遂していないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本邦における遺伝性血小板減少症疑い症例において小型・正常大の血小板を有する遺伝性血小板減少症の遺伝子解析を継続して行い、この解析結果を臨床に還元すすとともに、原著論文や総説および学会・研究会にて報告を行う予定である。既知遺伝子解析では遺伝子変異を同定できなかった症例において患者本人および同意の得られた両親のDNA検体を保存しているため、これらの検体を用いてアレイCGH法やエクソーム解析を行って、新規原因遺伝子を探索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
小型・正常大の血小板を有する遺伝性血小板減少症症例において、既知遺伝子に変異を同定できない症例および家系において、当初から予定していたアレイCGH法とエクソーム解析による新規原因遺伝子の探索を開始したところであるが、まだ全症例の解析が完遂していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
主に既知遺伝子に変異を認めない検体において、アレイCGH法とエクソーム解析を行うために必要な物品費として使用する。また、一部を成果発表として国内・国外での学会発表旅費および論文作成・投稿費用として使用する。
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