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2015 年度 実施状況報告書

先端的ゲノミクスによる小児横紋筋肉腫の新規転座とクローン進化の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26461566
研究機関東京大学

研究代表者

西村 力  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10463861)

研究分担者 滝田 順子  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00359621)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード横紋筋肉腫 / RNAシークエンス / 次世代シークエンサー
研究実績の概要

小児横紋筋肉腫は病理組織学的に大きく胞巣型と胎児型に分けられ、いずれの病型でも初診時遠隔転移陽性の場合、5年生存率30%未満と極めて予後不良である。腫瘍発生の機序として、小児腫瘍では転座が関与する頻度が高い。腫瘍特異性も高く、診断的価値や治療標的として有用で、新しい転座の同定は意義が大きい。横紋筋肉腫では胞巣型の約80%においてPAX3または7とFOXO1の転座が認められるが、残りの転座陰性胞巣型や胎児型では現在高頻度の転座は報告されていない。本年度は引き続き転座陰性胞巣型と胎児型横紋筋肉腫の新規転座の探索を行った。解析方法は次世代シーケンサーを用いてRNAシークエンスを行うことで網羅的解析を行った。解析検体は東大小児科研究室保存の新鮮腫瘍検体に加え、他施設からの収集も行った。本解析には高純度のRNAが必要であり、新鮮腫瘍または凍結検体が必要となるが、長期保存検体やRNA抽出後の保存検体は純度に問題があることが多く、基準を満たしたのは胎児型5例、胞巣型3例の計8検体だった。胞巣型2例はpositive controlとしてPAX3-FOXO1陽性検体で、1例が転座陰性胞巣型であった。RNAシークエンスの結果、全部で22の融合遺伝子が検出された。そのうちインフレーム融合であったのは3つ(うち2つは既知のPAX3-FOXO1)で、残りの19はインフレームでなかった。そのうちreverse transcription-PCR (RT-PCR)で確認可能だったのはインフレームが2/3(PAX3-FOXO1のみ)、インフレームでないものは10/19であった。意味のあるインフレームの融合遺伝子は既知もの以外検出されないという結果となった。インフレームではないため臨床的意義は不明だが、今回検出されたNSD-ZNF346の転座は胎児型横紋筋肉腫細胞株で検出されたとの報告があった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

胎児型、転座陰性胞巣型横紋筋肉腫における融合遺伝子の解析では、入手可能で、解析基準を満たした検体について、RNAシークエンスによる転座解析を施行した。RT-PCRによる再現性の確認も終了し、結果が確定したため。

今後の研究の推進方策

胎児型、転座陰性胞巣型横紋筋肉腫の新規融合遺伝子の探索については、検体数が少ないものの、有意な転座は検出されなかった。今後も検体の収集は継続する。シングルセルシークエンスについて、さらに解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

横紋筋肉腫は希少疾患であり、発生数が少ないことから新規検体の入手に限界があり、解析検体を増やすことが難しかったため。またRNAシークエンスでインフレームの新規融合遺伝子が検出されなかったため、他検体での頻度確認用の解析を行うことが出来なかったこともあった。

次年度使用額の使用計画

今年度進める予定のシングルセルシークエンスの解析費用や使用済試薬や消耗品の補充。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Integrated genetic and epigenetic analysis defines novel molecular subgroups in rhabdomyosarcoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Seki M, Nishimura R, Yoshida K, Shimamura T, Shiraishi Y, Sato Y, Kato M, Chiba K, Tanaka H, Hoshino N, Nagae G, Shiozawa Y, Okuno Y, Hosoi H, Tanaka Y, Okita H, Miyachi M, Souzaki R, Taguchi T, Koh K, Hanada R, Kato K, Nomura Y, Akiyama M, Oka A, Igarashi T, Miyano S, Aburatani H, Hayashi Y, Ogawa S, Takita J
    • 雑誌名

      Nature communications

      巻: 6 ページ: 1,8

    • DOI

      10.1038/ncomms8557

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2017-01-06  

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