マクロファージ活性化症候群(MAS)を合併した全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)症例において、血清IL-18濃度とNK細胞のIL-18に対する反応性を経時的に評価し、s-JIAの急性期には高IL-18血症の持続がNK活性の低下を引き起こすとともに、治療により高IL-18血症が改善すると、IL-18に対する反応性が回復することを明らかにした。これらの結果から、MAS病態への進展には、IL-18の過剰産生による二次的なNK活性の低下が深く関与することが明らかになった。またMASを合併したs-JIA症例の急性期およびMAS合併時の血清中の174種のサイトカインについて抗体アレイを用いた発現プロファイル解析を行い、MAS合併時にはIL-18/IFNγ/IFNγ誘導ケモカイン(CXCL9/MIG)系がMAS発症に重要な役割を果たしていることを明らかにした。またIL-6受容体抗体であるトシリズマブ(TCZ)治療中には、IL-18/IFNγ/IFNγ誘導ケモカイン(CXCL9/MIG)系を含めた非常に多くの炎症性サイトカインの発現が抑制されることが明らかになったが、血清CXCL9濃度はTCZ治療中においてもs-JIAおよびMASの病勢評価に勇往であることがわかった。そのほか、血清sCD163濃度は既報にあるMASのみならず、s-JIAの寛解指標としての意義も含めた病勢評価指標としても有用であることを明らかにした。また血清leucine rich α2 glycopoteinがTCZ治療中のs-JIAの病勢評価に有用であることを明らかにした。さらにMASへの移行の診断にはsTNFRII/I比の経時的評価が有用であることを明らかにした。
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