研究課題
若年性骨髄単球性白血病(JMML)の発症関連遺伝子は約80%の症例で同定されるようになった。こうした遺伝子解析によりJMMLは均一な疾患ではなく、治療抵抗性の症例から経過観察のみで血液学的に軽快する症例など様々な臨床経過を示すことが明らかとなった。しかし、その臨床的スペクトラムを決定する遺伝子は未だに不明である。我々はJMMLの白血病性幹細胞を末梢血から大量に増殖させる培養法を確立し,培養で得られた幹細胞を免疫不全マウスに移植し生着することを確認した。この結果より培養で増幅された幹細胞は白血病幹細胞の性質を維持していることを証明した。(Sakasita et al. Leukemia. 2014)。さらにこの研究においては、無治療経過観察している症例(RAS遺伝子変異例)においては幹細胞の増幅率はひくく、病状が進展する症例は幹細胞の増幅率が高かった。また幹細胞を免疫不全マウスに移植が可能であることから、細胞株の存在しないJMMLにおいては、今後の病態解析に非常に有用な系であると考えられる。現在、白血病の遺伝子網羅的解析からある遺伝子(A遺伝子)に注目し解析を進めている。正常造血幹細胞においてはA遺伝子の発現を認めず、JMMLの幹細胞での高発現を確認した。現在臨床症状との関連を検討中である。また上記培養で得られた幹細胞においてA遺伝子をshRNAの技術を用いノックダウンを行い、JMMLのA遺伝子の増殖に対する影響を解析中である。
2: おおむね順調に進展している
現在ターゲットとする遺伝子候補が決定し、その機能解析を進めている。
研究計画に変更はなく、研究計画に従い実行していく。候補遺伝子について、CD34陽性CD38陰性細胞を用いて遺伝子をshRNAを用いてノックダウンさせることにより、骨髄系細胞増殖および白血病性幹細胞の自己複製能にどのような影響があるかを検討する。
候補遺伝子についてのshRNAを用いた研究を開始しているが、候補遺伝子について多数例での検討がされていないので、次年度への繰越を行った。
研究計画に従い多数例でのshRNAの研究を遂行するため、次年度へ繰り越した金額とあわせて研究を行う。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Leukemia
巻: 29 ページ: 606-14.
doi:10.1038/leu.2014.239.