研究課題
若年性骨髄単球性白血病(JMML)の発症関連遺伝子の約90%で同定されるようになった。こうした遺伝子解析によりJMMLは均一な疾患ではなく、治療抵抗性の症例から経過観察のみで血液学的に軽快する症例など様々な臨床経過を示すことが明らかとなった。しかし、その臨床的スペクトラムを決定する遺伝子は未だに不明である、我々はJMMLの白血病幹細胞を末梢血から大量に増殖させる培養法を確立した。培養で得られた幹細胞を免疫マウスに移植し生着した事から白血病性幹細胞の性質を維持していることを証明した(Sakashita et al. Leukemia 2015)。さらにこの研究においては、無治療経過観察している症例においては幹細胞の増幅率は低く、病状が進展する症例は幹細胞の増幅率が高かった、また幹細胞を免疫不全マウスに移植が可能である事から、細胞株の存在しないJMMLにおいては、今後の病態解析、治療法開発に非常に有用な系であると考えられる。実際、JMMLに対してCAR-T細胞療法の応用においてその細胞治療の有用性をこの系を使用し証明した(Nakazawa et al. J Hematol Oncol. 2016)。現在白血病の遺伝子網羅的解析からプロトカドヘリン(PCDH)17に注目し解析を進めている。正常造血幹細胞においてはPCDH17の発現を認めず、JMMLの幹細胞で高発現を確認した。細胞株にPCDH17を導入すると増殖が抑制され、PCDH17を発現している細胞株においてshRNAでノックダウンすると低発現が誘導されるほど細胞が増殖した。現在さらに解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
JMMLにおいてターゲット遺伝子(PCDH17)が確定し、その遺伝子発現と臨床症状について現在解析中。またその他のカドヘリンスーパーファミリー遺伝子群について検討する。
PCDH17の発現と臨床経過について解析を行う。またその他のカドヘリンスーパーファミリー遺伝子群について検討する。
臨床検体からRNAを抽出し、定量的PCRを行う実験を繰り越したため。
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて、臨床検体を使用し、臨床的意義の解析を行う費用として計画している。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Leukemia
巻: 29 ページ: 606-14
10.1038/leu.2014.239.