研究実績の概要 |
若年性骨髄単球性白血病(JMML)の発症関連遺伝子の約90%で同定されるようになった。こうした遺伝子解析によりJMMLは均一な疾患ではなく、治療抵抗性の症例から経過観察のみで血液学的に軽快する症例など様々な臨床経過を示すことが明らかとなった。 我々はマウスストローマ細胞株であるaorta-gonad-mesonephros (AGM)-S3細胞株とJMML CD34陽性細胞をサイトカイン存在下で共培養することでJMML白血病幹細胞様細胞であるCD34+CD38-細胞を培養増殖させ得る系を確立した。さらにストローマ細胞をOP-9 (新生児マウス骨髄由来ストローマ細胞株), MS-5 (成人マウス骨髄由来ストローマ細胞株)に替えて検討を行ったところ、CD34+CD38-細胞の増殖割合は減少あるいは消失したことからJMML白血病幹細胞の増殖には未熟な造血環境が非常に重要な役割を担っているとこが推察された(Sakashita et.al Leukemia,2015)。この研究結果に基づき造血環境に着目し、特に接着因子に注目し、次期科学研究費の課題として研究を継続する予定である。 また、遺伝子の網羅的解析からプロトカドヘリン(PCDH17)に注目し解析を進めた。はじめに様々は造血器腫瘍について、発現や発現調節について検討したところ、ALLおいてはPCDH17のDNAメチル化が予後関連あることを報告した(Uyen NT, Sakashita, et al Pediatri Blood Cancer, 2016) 。PCDH17の造血における役割の解析のため、白血病細胞株を利用し、ノックダウン、あるいは遺伝子導入を行い、この遺伝子ががん抑制遺伝子として作用していることが判明し発表した(投稿中)。
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