研究課題
1. アスパラギン酸をアラニンに置換した高親和性IgE受容体β鎖変異体(D234A)がマスト細胞のサイトカインの産生に影響を与える理由を明らかにするために、野生型および変異体(D234A)のタンパク質(aa:143-235)を精製し、その2次構造、3次構造および熱安定性について円二色性分光計を用いて比較検討した。遠紫外円二色分光(far-UV CD)による二時構造の検討では、両者とも典型的なα-ヘリックス構造をとり、D234Aでも構造の崩壊やヘリックス含量の低下は認められなかった。近紫外円二色分光(near-UV CD)による三次構造の検討ではチロシン、フェニルアラニンやトリプトファンのアミノ酸側鎖の発色に起因したCDスペクトルが得られるが、これらに有意差は認められなかった。また、野生型およびD234Aの温度変化によるタンパク質の構造の変化を検討したが、いずれも二状態転移を示し有意差はないと考えられた。ギブスの自由エネルギーも計算したが、有意差は認められなかった。これらのことからD234Aはβ鎖タンパク質の構造や熱安定性に影響は与えず、β鎖の同部位に何らかの分子が会合し、マスト細胞の機能を調節すると考えられた。2.上記の結果から、既存のデータベースやソフトなどを活用して、D234に会合する可能性のあるタンパク質を検討した。いくつかの候補が得られたので、これからそれらのタンパク質の精製に取りかかる予定である。
2: おおむね順調に進展している
β鎖変異体(D234A)タンパク質の構造および熱安定性について結果を明らかにし、またその結果は当初予想したとおりのものであった。また、とりあえずD234に会合することが予想される分子の候補も得られたので、候補となった分子のコンストラクトを作製しタンパク質の発現、精製を行う目処もたったから。
候補となった分子のコンストラクトを作製しタンパク質の発現、精製を行う。これらをβ鎖タンパク質(野生型、D234A)と相互作用させ、実際に会合するかどうかを検討する。会合する分子がある場合にはβ鎖と候補タンパク質との会合部位を同定し、会合部位がD234かどうかも併せて決定する。
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