研究課題
野生型高親和性IgE受容体β鎖およびアスパラギン酸をアラニンに置換したβ鎖変異体(D234A)のタンパク質を精製し、二次構造、三次構造および熱安定性を検討し、野生型β鎖とD234Aで有意差がないことを明らかにした。次にβ鎖に会合することが予測される分子を既存のデータベース等を用いて予測して候補をとなりうる分子を決定した。これらの候補およびβ鎖に会合することがすでに知られている分子を中心にタンパク質の精製を行った。精製ができたタンパク質に関しては、いくつかの分光学的手法を用いて野生型β鎖およびβ鎖変異体(D234A)との会合に差異があるかどうかを検討した。これらの検討では野生型β鎖およびβ鎖変異体(D234A)の両者の会合の差異について明らかにすることはできなかった。一方で、β鎖の構造をより詳細に検討するために、D234の近傍にありβ鎖のシグナル伝達に重要な役割を果たすITAM (immunoreceptor tyrosine-based activation motif)のチロシンをフェニルアラニンに置換したβ鎖変異体やβ鎖の遺伝子多型(L172I, L174V, E228G)の二次構造、三次構造および熱安定性に関して円二色分光法などを用いて解析を行った。これらの中でE228Gに関しては、ギブスの自由エネルギーを計算した結果、野生型に比べてβ鎖タンパク質の熱安定性の低下が認められ、アレルギー疾患に関与する可能性が示唆された。β鎖の構造や熱安定性に関する知見の集積は、β鎖の機能のさらなる解明の一助となることが、期待される。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Renal Replacement Therapy
巻: 2 ページ: 42
10.1186/s41100-016-0054-y