研究課題
タンパクをコードしていないnon coding RNAの一種であるマイクロRNA (miRNA)は、生体内の様々な遺伝子発現を調節することで、生命体の恒常性維持に密接に関与している。マイクロRNAは血清などの体液中でも安定して存在するという特徴があり、様々な疾患において、新規の疾患バイオマーカーとしての有用性が示されている。若年性特発性関節炎 (juvenile idiopathic arthritis; JIA) は、小児リウマチ性疾患の中では、最も高頻度な疾患である。生物学的製剤の導入により、その予後は改善を認めているが、難治性の経過をたどる例も稀ではなく、早期診断や、疾患活動性の適切な評価が求められる。JIAに疾患特異的なマイクロRNAや、疾患活動性を反映するマイクロRNAの同定により、病態の解明や、診断および治療に有用な新規バイオマーカーとして応用が期待される。本研究では、JIA患者の血清および、血球検体を用いて、成人のリウマチ性疾患で関連が示唆されているマイクロRNAを中心に、リアルタイムPCR法による定量を行い、血清中のmiR-146aやmiR-223の発現が、全身型JIAおよび関節型JIAで有意に発現が亢進していることを見出した。さらに、miR-223は、全身型および関節型JIAの急性期でより強く発現が亢進しており、治療による疾患活動性の低下に伴い、発現が低下することが確認された。また、一部の血清中のマイクロRNAは、赤沈やMMP-3等のJIAの疾患活動性を反映している検査項目との相関を認めた。さらに、miR-164aの発現が亢進している患者は、関節炎のコントロールが困難であり、生物学的製剤による治療を必要とする頻度が高かった。以上のことから、血清中のマイクロRNAは、JIAの新規バイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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