研究課題/領域番号 |
26461579
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
濱 麻人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30566964)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダウン症 / 一過性異常骨髄増殖症 / 急性巨核芽球性白血病 / GATA1 / コヒーシン / CTCF / ターゲットシークエンス |
研究実績の概要 |
ダウン症 (DS) 児の約10%が、新生児期に一過性異常骨髄増殖症 (TAM) を発症し、一旦は自然軽快するものの、その約20%が4歳までに急性巨核芽球性白血病 (DS-AMKL) を発症する。TAMの発症にGATA1遺伝子が関与することが知られている。最近、我々は、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により、DS-AMKLの発症にコヒーシン関連遺伝子(RAD21、STAG2)、CTCF遺伝子、エピジェネティクス関連遺伝子(EZH2、KANSL1)などが関与することを明らかにした。本研究の目的は、これらの遺伝子変異を、TAM発症からAMKL発症までの複数の時点において解析し、TAMにおける自然軽快の経過や、DS-AMKL発症までのclonal evolutionを明らかにすることである。現時点でTAM30例、DS-AMKL30例の末梢血血液あるいは骨髄検体が収集されている。TAMからDS-AMKL発症に至るまでの経時的検体は現在収集中である。平成26年度においては、DS-AMKL7例およびnon-DS-AMKL11例に対して、次世代シークエンサーを用いて、GATA1、RAD21、SRSF2、STAG2、CTCF、EZH2、KANSL1、p53、JAK2、NRAS、CBL、MPL、BCOR遺伝子異常の有無を確認し、それぞれの遺伝子異常の出現頻度について比較した。結果はDS-AMKL、non-DS-AMKLそれぞれにおいて、GATA1(100%、0%)、RAD21(43%、0%)、SRSF2(14%、0%)、STAG2(28%、18%)、CTCF(14%、0%)、EZH2(29%、27%)、KANSL1(29%、0%)、p53(0%、9%)、JAK2(29%、0%)、NRAS(0%、18%)、CBL(0%、9%)、MPL(14%、0%)、BCOR(14%、0%)であった。GATA1、RAD21、KANSL1、JAK2遺伝子異常はDS-AMKLで高頻度にみられたのに対して、non-DS-AMKLではみられなかった。両者の分子生物学的背景の差異が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、DS-AMKL発症に関与する遺伝子変異を、TAM発症からAMKL発症までの複数の時点において解析し、TAMにおける自然軽快の経過や、DS-AMKL発症までのclonal evolutionを明らかにすることである。しかしながら、TAMからAMKLに至るまでの経時的血液検体の収集は現在行っている最中であり、現時点では、本研究の目的とする解析には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
新たに出生したダウン症児の登録システムを立ち上げ、ダウン症全体のデータベースを作成するとともに、出生時の末梢血血液検体を収集する。より多くの血液検体を収集するために、名古屋大学小児科および名古屋大学小児科関連施設に加えて、すでに愛知県内の大学である、名古屋市立大学、愛知医科大学および藤田保健衛生大学小児科から本研究への研究協力の同意を得ている。よって、4つの大学およびそれぞれの関連施設で出生したダウン症児の末梢血検体を収集することができるため、より多くの血液検体を効率よく収集することができると考えられる。収集された血液検体については、次世代シークエンサー(Illumina社、MiSeq)を用いてGATA1遺伝子のターゲットシークエンスを行う。GATA1遺伝子変異が検出された症例については、末梢血検体を3カ月ごとに収集する。DNAとRNAを抽出した時点で凍結保存し、適宜解析を行う。すなわち、経時的に収集された検体のゲノムDNAを用いて、16の遺伝子(GATA1、RAD21、STAG2、NRAS、CTCF、DCAF7、EZH2、KANSL1、TP53、KRAS、PTPN11、JAK1、JAK2、JAK3、MPLおよびSH2B3)について、次世代シークエンサーによるターゲットシークエンスを行う。そして、変異を有する腫瘍細胞の割合(variant allele frequency: VAF)を決定し、時系列的なVAFの推移から、clonal evolutionを推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度はTAMからDS-AMKLに至るまでの経時的検体の収集を行うことに時間がかかってしまったために、それぞれの段階における遺伝子解析を十分に行うことができていない。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に収集した検体に加えて、新たにTAMからDS-AMKLに至るまでの検体を収集しながら、次世代シークエンサーを用いた、DS-AMKL発症に関与する遺伝子解析を行うため、次世代シークエンサー解析で必要な消耗品に使用する。
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