研究課題/領域番号 |
26461588
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤枝 幹也 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (60209020)
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研究分担者 |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50263976)
村上 雅尚 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80571017)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ウイルス / 感染症 / リンパ腫 |
研究実績の概要 |
本研究はEpstein-Barr (EB)ウイルス感染に伴い発現変化するBリンパ腫細胞遺伝子の解析と同定を行うものである。移植後リンパ増殖性疾患(post-transplant lymphoproliferative disorder: PTLD)は、免疫抑制状態において、EBウイルス感染により惹起される。EBウイルスがコードするLMP1やEBNA2陽性のB細胞の増殖を許し、リンパ腫が発症すると考えられている。PTLDは移植後の悪性疾患として小児において最も頻度が高く、致死率はやや改善されたものの到底満足できるものではない。 これまでのPTLDの病態に関する研究では、B細胞の無制限増殖に働く責任EBウイルス遺伝子の同定に主眼が置かれていた。その一方で、PTLDのようなEBウイルス発現パターン(LMP1, LMP2A, EBNA2などを発現するⅢ型EBウイルス感染様式)を有するリンパ腫において、どのような細胞側遺伝子が発現あるいは抑制され、それがどう働くかについての詳細は明らかにされていない。 我々はこれまでに同一症例からEBウイルス陽性(Ⅲ型EBウイルス感染様式)とEBウイルス陰性のB細胞リンパ腫の樹立に成功している。これらの細胞株は染色体解析などから同一クローン細胞由来の細胞株であることが判明している。その2株の遺伝子発現パターンをアレイシステムで比較解析した結果、複数の遺伝子に発現変化が認められることが判明した。これによりEBウイルス感染とそれによって影響を受けるリンパ腫細胞側因子との相互関係を詳細に解析できる手がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、同一症例の、しかも同一クローン細胞由来のEBウイルス陽性(Ⅲ型EBウイルス感染様式)とEBウイルス陰性のB細胞リンパ腫細胞株を用いて、両者間での遺伝子発現の相違をプロファイリングすることができた。 よって、本研究は当初の計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究結果に基づき、候補遺伝子群の発現レベルを定量的リアルタイムPCRなどで確認していく。今回使用したEBウイルス陽性細胞は陰性細胞に比して、より強い悪性形質を獲得していることが既に証明されている。したがって、EBウイルス感染に関連して悪性形質獲得に寄与する感染細胞側遺伝子の同定につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は試薬を中心に物品費の支出を最低必要限に抑えて予算を執行したため、若干の繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具などの物品費、成果発表のための国内旅費、学術誌掲のための費用および人件費・謝金を予算に計上した。
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