研究課題
川崎病は原因不明の血管炎であり、免疫グロブリン大量療法が有効である。我々はこれまでに免疫反応でブレーキの役割を果たす抑制性受容体の研究を行い、免疫グロブリンが抑制性受容体に直接働く可能性を示してきた(Tanaka J, et al. Open J Immunol 2:194-160, 2012)。本研究では川崎病と免疫抑制性受容体の関係に着目し、免疫抑制受容体であるLeukocyte Immunoglobulin-Like Receptor, subfamily B (LILRB)が川崎病の病態形成に果たす役割を明らかにするために、免疫グロブリン大量療法の前後におけるLILRB1、LILRB2、LILRB3、LILRB4の発現パターンの変化をフローサイトメトリーを用いて解析した。昨年度当科に入院した川崎病患者52名について詳細な病歴、家族歴、既往歴を記録し、同時に頚部リンパ節の大きさや冠動脈の径を超音波エコー検査で客観的に測定し、NT-proBNP、SAAなどのバイオマーカーを測定した。その中でインフォームドコンセントを行い書面で同意が得られた川崎病患児17名について、LILRB発現を比較検討した結果、治療前後で発現に明らかな変化がみられたのはLILRB4であった。この結果からLILRB4を介した抑制性のシグナルが川崎病の発症に関与している可能性が考えられた。現在どの細胞集団で主に発現が変化しているかどうかについて症例数を増やし検討中である。
2: おおむね順調に進展している
川崎病患者のエントリー数は予定通りであり、これらの患者の詳細な病歴や現症、一般検査成績の他に末梢血細胞における免疫抑制受容体LILRBの解析も行った。
今後も川崎病患者のエントリーをすすめていき、LILRBの発現解析を行う。また本研究では川崎病患者の免疫グロブリン大量療法前後のLILRBの解析を行っているが、健常小児のLILRBの正常発現パターンはこれまでに報告されていないため、健常小児における発現パターンの解析も併せて行う。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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