研究課題
本研究では川崎病と免疫抑制性受容体の関係に着目し、免疫抑制受容体であるLeukocyte Immunoglobulin-Like Receptor, subfamily B (LILRB)が川崎病の病態形成に果たす役割を明らかにするために、免疫グロブリン大量療法の前後におけるLILRB1、LILRB2、LILRB3、LILRB4の発現パターンの変化をフローサイトメトリーを用いて解析を行ってきた。一昨年度は川崎病患者17例の解析を行った。昨年度は川崎病症例と比較するために正常コントロールとして書面で同意が得られた健常小児10例のLILRBの正常発現パターンについて検討を行った。その結果、LILRB1が単球およびB細胞に、LILRB2・LILRB3が単球のみに、LILRB4が単球およびB細胞に発現していることがわかった。さらに、昨年度も引き続き川崎病の診断で当科に新たに入院した川崎病患者62名について、詳細な病歴、家族歴、既往歴を記録し、同時に頚部リンパ節の大きさや冠動脈の径を超音波エコー検査で客観的に測定し、NT-proBNP、SAAなどのバイオマーカーを測定した。その中でインフォームドコンセントを書面で行い同意が得られた川崎病患児8名について、免疫グロブリン大量療法の前後におけるLILRBの発現を比較検討したところ、前年の結果と同様に免疫グロブリン大量療法の前後で発現に差が認められたのはLILRB4だけであった。正常コントロールと比較して川崎病の急性期ではLILRB4の発現が亢進しており、LILRB4が川崎病の病態に関与している可能性が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
研究を開始してから当科に入院した川崎病患者は既に114症例となり、詳細なデータの蓄積ができている。そのうち書面でインフォームドコンセントを行い同意が得られた川崎病患者計25例、正常コントロール10例の解析をすでに終了しており、LILRBの発現パターンも比較検討できている。
これまでの解析で川崎病急性期に発現が増強するLILRB4は川崎病の病態に関わっていることが予測される。LILRB4は抑制性受容体であり、それをコントロールできれば川崎病の治療薬になる可能性がある。そこで本年度は、LILRB4が川崎病の病態にどう関わっているかを解析する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件)
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