研究課題/領域番号 |
26461599
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
大木 健太郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 室長 (50400966)
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研究分担者 |
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
朴 明子 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (50450375)
外松 学 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (70251113)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 次世代シークエンス解析 / 小児がん / 臨床 / 急性骨髄性白血病(AML) / MLPA解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小児急性骨髄性白血病(AML)の発症や進展に関わる分子機構を解明し、治療の層別化や分子標的薬の創薬に結びつけることにより、予後の向上に結びつけることにある。 今年度我々は、小児AML23症例で、次世代シーケンサーによる全エクソン解析による網羅的ゲノム解析を行い、コヒーシン複合体(RAD21、SMC3)、BCORL1、ASXL2遺伝子に新規の変異を見出した。1症例で見られた変異数は5個とこれまで報告のある成人AML症例に比べて少なかった。得られた複数の新規遺伝子異常について、日本小児白血病リンパ腫グループ(JPLSG)のAML-05臨床試験に登録された370例で標的深読み塩基配列解析を行った。また、NUP98-NSD1融合遺伝子とその類似発現の症例、既知の融合遺伝子を認めない正常核型の症例の合わせて47症例において全トランスクリプトーム解析を行った。上記の解析で得られた遺伝子異常を有する症例の臨床的特徴について検討を行い、複数の治療の層別化の候補となる予後関連因子が見出されている。今後、本研究で集積した大量の遺伝子データおよびJPLSGと群馬県立小児医療センターの白血病データベースによる臨床データの解析により、白血病の病型と関連のあるゲノムパターンの異常、メチル化の特徴を抽出し、遺伝子・ゲノム、エピゲノムの異常に基づいた、病型診断、予後予測が構築できる可能性について詳細な検討を行い、本研究で新たに見出された遺伝子異常について、機能解析を行うことにより、それらの腫瘍化との関連性のさらなる検証を行い、標的遺伝子の同定を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児急性骨髄性白血病(AML)の発症や進展に関わる分子機構を解明ために,これまで小児AML 23例に全エクソン解析、小児AML47例に全トランスクリプトーム解析、小児AML182例に標的深読み塩基配列決定解析とMLPA解析を行ってきた。 平成27年度は、次世代シーケンサーによる全エクソン解析と全トランスクリプトーム解析を行い、概ねに予定してされていた解析を行うことができた。また、得られた遺伝子異常について、JPLSGと群馬県立小児医療センターおよび関連施設の患者の詳細な臨床データベースを用いて、臨床的特徴について検討を行い、複数の治療層別化の候補となる遺伝子異常を見いだすことができており、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、全エクソン解析が終了した20例に加え、さらに中間リスク群で既知の融合遺伝子のない小児AML43例(全解析期間中で合計90例)について、次世代シーケンサーを用いた全トランスクリプトーム解析を行い、新規の予後因子や治療標的の候補となる遺伝子異常の検索を行う。また、平成27年度に計画していた網羅的メチル化解析をInfinium Methylation EPIC BeadChip arrayを使用して行い、エピジェネティックな転写抑制機構についても解明を試みていく。 本研究で集積した大量の遺伝子データおよびJPLSGと群馬県立小児医療センターの白血病データベースによる臨床データの解析により、白血病の病型と関連のあるゲノム異常、メチル化の特徴を抽出し、遺伝子・ゲノム、エピゲノムの異常に基づいた、病型診断、予後予測が構築できる可能性について詳細な検討を行い、新規予後予測因子の同定に基づくリスク別層別化も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に計画していた小児AMLの網羅的メチル化解析について、当初予定していたMeDIP-on-CHIP法とAffymetrix社製HuamanPromotor 1.0 arrayに比べて多領域のメチル化サイトの検出が可能なInfinium Methylation EPIC BeadChip arrayを用いたメチル化の網羅的解析が可能となり、解析の準備を行っていたため、研究費530,875円を次年度に先送りした。これらを研究予定なので、平成28年度には、先送りした研究費を合わせて使用する予定である。Infinium Methylation EPIC BeadChip arrayのキットも購入する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に計画していた新規分子診断法の開発とリスク別層別化の実用化と標的遺伝子の同定と遺伝子性状の解析、in vitroにおける造腫瘍性に関する検討と合わせて、平成27年度に計画していたメチル化の網羅的解析をInfinium Methylation EPIC BeadChip arrayを用いて行っていく。
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