研究実績の概要 |
現在まで (1) NIPA の抑制により増殖が抑制される細胞株として、SK-N-MC, GOTO, SK-N-DZ, CHP-212 (抑制群) を、逆に抑制されない株として TGW, KELLY, NB-1, NB-39nu, SK-N-AS, IMR-32 (非抑制群) を特定した (2) これらの細胞株について遺伝子発現プロファイルを分析したところ、群間の遺伝子発現について特定の傾向はなかった (3) 個々の細胞について、NIPA の発現を抑制した場合に遺伝子の発現の変動を検討した (4) 抑制群において有意な発現の変動が観察され、非抑制群において変動がなかった遺伝子として366個の遺伝子を特定し、このうち腫瘍の発症に関連が強いと思われる遺伝子群について、NIPAとの関連を検討している。NIPAの抑制の結果、MYC・MYCNの発現も抑制されており、これらの間の相互作用のメカニズムを明らかにしたいと考えている。また、先行研究からサイクリンB1のユビキチン化の調節障害が証明されており、神経芽細胞腫の増殖抑制においての寄与を評価する予定である。 一方、他の小児がん細胞株についてNIPAの抑制が増殖に影響するかどうかを評価する目的で、横紋筋肉腫とユーイング肉腫の細胞株についてNIPAの遺伝子発現を抑制する実験を行なったところ、横紋筋肉腫の細胞株において、増殖抑制を観察した。今後、この増殖に対する影響のメカニズムについての検討を継続する。
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