研究課題
神経芽腫は自然退縮する予後良好タイプがある一方で、難治性の予後不良タイプは依然として治癒率が低く、様々な臨床経過がみられる腫瘍である。本研究では、これらの臨床経過の異なるサブグループ毎に網羅的ゲノムコピー数解析や網羅的遺伝子発現解析の結果に、次世代シーケンサーによる遺伝子変異解析、RNAシーケンス解析、メチローム解析を組み合わせた詳細な解析を行い、腫瘍悪性度や臨床予後などと強く関連する遺伝子の同定、新しい神経芽腫リスク分類システムの構築を目的とする。平成28年度は、前年度までに行ったアレイCGH法による腫瘍組織のゲノムコピー数解析を用いて、症例をゲノムサブグループに分類し、MYCN増幅例で特に染色体部分的増加/欠失を伴う群(Pa群、17例)と、目立ったゲノムコピー数変化の見られないサイレント群(Ss群、20例)を含む計57例について網羅的変異解析を行った。シークエンシングは読み取り深度75以上で行った。検出されたアミノ酸を伴う変異はMYCN増幅群において有意に多く(Pa:13.8/tumor、Ss:1.2/tumor)、再発時腫瘍においては58とさらに増加していることが示された。また、その変異の数は発症時月齢が高いほど多い傾向が見られた(p=0.024)。変異遺伝子のアノテーションとパスウェイ解析ではPa腫瘍の変異遺伝子はMAPKパスウェイ、Wntパスウェイに含まれる遺伝子群やaxon guidanceに関係する遺伝子群にエンリッチされていることが示された。これらの中にはNRAS活性化変異など他の進行腫瘍でも報告されているものが含まれ、今後の治療法開発に寄与すると期待された。
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Oncotarget
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