研究課題
制御性樹状細胞は免疫寛容誘導能を示す抗原提示細胞として自己免疫疾患やアレルギー疾患に対し新規免疫細胞療法の重要な可能性を秘めている。我々は、マウス骨髄細胞からpsolarenと紫外線(UVA)を用いて、制御性樹状細胞(PUVA-DC)を大量かつ安価に作製する技術を開発した。このPUVA-DCは、マウスモデルでMHC非依存性にTリンパ球に対し抑制性の作用を示しMHCミスマッチの骨髄移植の可能性を切り開いた。この技術を人に応用し、HLA不一致のため移植片対宿主病(Graft-versus-Host Disease: GVHD)のリスクのため移植が行えない患者に対して、HLAの壁を乗り越える安全な骨髄移植開発の可能性を検討する。平成26年度の実験では、マウスGVHDモデルにて制御性樹状細胞PUVA-DC(ホストもしくはドナータイプもしくはサードパーティー)の輸注にてGVHDが実際に抑えられるかどうかの確認を行った。マウスGVHDモデルのtitrationを行い、PUVA-DCの必要細胞輸注数の確認を行ったが、マウスGVHDモデルの最適化が得られなかった。そのためマウスGVHDモデルにて、ドナーもしくはレシピエントもしくはサードパーティーの制御性樹状細胞(PUVA-DC)の輸注を行ったが、明らかなGVHD抑制作用を証明する事ができなかった。制御性樹状細胞(PUVA-DC)の輸注細胞数およびマウスGVHDを引き起こすための脾臓細胞輸注数の最適化の検討を行う必要性を認めた。
3: やや遅れている
マウスGVHDモデルでは同じ様に移植を行ったとしても、移植細胞数の僅かな誤差や移植前処置の放射線照射の違いによって、予想以上にGVHDが強く惹起することがある。そのため制御性樹状細胞(PUVA-DC)を輸注しても、GVHDを十分に抑えられなかったことが考えられる。
マウスGVHDモデルの最適化を行い、その後、制御性樹状細胞(PUVA-DC)数の最適化を行う。また制御性樹状細胞(PUVA-DC)数の最適化が得られなかった場合には、その原因検索を行う。
理想的なマウスGVHDモデルを作成できず、そのため適正な制御性樹状細胞(PUVA-DC)の輸注細胞数の最適化が得られなかった事から、humanの血液細胞における制御性樹状細胞(PUVA-DC)の作成へ進めなかった。また作成予定だったhumanの制御性樹状細胞を用いて、異種系マウス骨髄移植(NOGマウス)を行うことができなかったため、次年度への先送りとなった。
理想的なマウスGVHDモデルおよび制御性樹状細胞の輸注細胞の適正化のための実験のための経費や次年度の研究推進のための経費に充てる。50万以上の物品の購入はない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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