研究課題
制御性樹状細胞は免疫寛容誘導能を示す抗原提示細胞として自己免疫疾患やアレルギー疾患に対し新規免疫細胞療法の重要な可能性を 秘めている。我々は、マウス骨髄細胞からpsolarenと紫外線(UVA)を用いて、制御性樹状細胞(PUVA-DC)を大量かつ安価に作製する技 術を開発した。このPUVA-DCは、in vitroのマウスモデルでMHC非依存性にTリンパ球に対し抑制性の作用を示しMHCミスマッチの骨髄移植の可能性 を切り開いた。この技術を人に応用し、HLA不一致のため移植片対宿主病(Graft-versus-Host Disease: GVHD)のリスクのため移植が 行えない患者に対して、HLAの壁を乗り越える安全な骨髄移植開発の可能性を検討している。 平成26-27年度の実験においてはマウスGVHDモデルにて制御性樹状細胞PUVA-DC(ホストもしくはドナータイプもしくはサードパーティー)の 投与にて十分なGVHD抑制効果が得られなかった。そのため平成28年度の実験においてはPUVA-DCの輸注細胞数を2×10E6と2倍の投与量でGVHDが実際に抑えられるかどうかの確認を行った。2倍の投与量においても十分なGVHD抑制効果を得られなかった事から、PUVA-DCが生体内での生存が不十分であることが示唆された。この原因としてPUVA-DC培養時に、サイトカイン存在下における特殊な条件下での培養、その後、光毒性物質(psoralen)と紫外線照射を行われていることが考えられた。そのため、今後は生体内で投与後においても十分に生存できかつ強力な免疫抑制作用を保持するPUVA-DCの作成を探索する必要がでてきた。
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British journal of hematology
巻: 176(3) ページ: 495-497
10.1111/bjh.13970