研究課題/領域番号 |
26461605
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉山 佳子 (中山佳子) 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (20600498)
|
研究分担者 |
坂下 一夫 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10345746)
日高 奈緒 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (30626023) [辞退]
加藤 沢子 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80762814)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 炎症関連発癌 / 潰瘍性大腸炎 / ヘリコバクター・ピロリ感染 / DNAメチル化異常 / エピジェネティック |
研究実績の概要 |
本研究は、小児のヘリコバクター・ピロリ菌感染と潰瘍性大腸炎を対象疾患として、小児期の消化管の慢性炎症から発癌へのエピジェネティックな変化を消化管粘膜のDNAメチル化異常から解析するものである。平成29年度は、平成28年度までに研究への同意を得て検体採取された検体について、miR124a-3遺伝子の消化管粘膜におけるDNAメチル化異常を検討した。 ヘリコバクター・ピロリ菌感染については、除菌治療前にはすべての症例でごく軽度(中央値4.2)のメチル化を認めた。いずれも胃前庭部からの検体を用いて、病理組織検査では活動性炎症を認めるものの、高度の胃粘膜萎縮はなく、腸上皮化生は確認されなかった。一方、除菌治療後4年ないし10年を経過した症例において、メチル化レベルは低かった。除菌治療後2ヶ月の症例では、病理学的な慢性活動性胃炎はないものの、メチル化レベルは除菌治療前の症例と同等であった。症状のあるヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の思春期の症例において、除菌治療が将来の発癌に予防的に作用する可能性を示唆していると考えられた。 潰瘍性大腸炎における大腸粘膜のメチル化異常は、中央値0.1と低く、罹病期間および大腸粘膜の炎症の活動性の程度に関わらずメチル化のレベルは低かった。将来のcolitic cancerのハイリスク症例を、今回の検討から予想することは難しいと考えられた。治療との関係については、およそ半数の症例においてアザチオプリン、抗TNFα抗体などの免疫調節薬を使用していた。今後、症例数を増やす、mrR124a以外の遺伝子のメチル化を検討するなど、さらなる研究が必要であると考えられた。
|