研究分担者 |
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
陶山 和秀 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90423798)
大原 信一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00566846)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20171217)
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研究実績の概要 |
目的:私達は、急性・慢性腎障害の発症、進展過程におけるDAMPsの役割を検討するためにHUS動物モデルを使用し、DAMPsの主たる因子であるHMGB1発現と各種サイトカイン濃度との関連性について検討した。 方法:6週齢のC57BL/6マウスにリポポリサッカライド(LPS)と志賀毒素(Stx2)を腹腔内投与し重症型と軽症HUSマウスモデルとコントロール群を作製し経時的な組織病変の推移を解析した。また、投与後3,6,12,24,48時間,1,2,4週間に経時的にと殺を行い、血液を採取して、HMGB1に加え、各種サイトカインやケモカイン濃度を測定した。 結果:1.重症型HUSマウスモデル群において内皮細胞障害とメサンギオリーシスがLPS+Stx2投与後3時間から72時間に認められた。2.血清HMGB1濃度は3時間後ですでにピーク濃度に達し、12時間後には前値に復した、3.GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-5、IL-6、IL-12、IL-13、MCP-1、TNF-αは6時間後にピークを認め、その後減少した。また、抗炎症性サイトカインであるIL-10は3-24時間にかけて上昇傾向がみられた。4.軽症型HUSマウスモデル群では、回復期においてVEGFとアンギオポエチン1濃度が上昇し、組織内発現が強く出現した。4.重症型HUSマウスモデル群において発症早期にHMGB1が出現し、その後、経時的に炎症性、抗炎症性サイトカインが誘導されていた。さらに、腎障害からの回復期にはVEGFとアンギオポエチン1などの血管新生因子の関与が示唆された。 考察:HUSマウスモデルにおいてDAMPsの発現とその後の炎症性、抗炎症性サイトカイン誘導との関連性が明らかになり、さらに腎障害回復期における血管新生因子の関連性が示され、これらの所見は、腎障害の制御に役立つ可能性が示唆された。
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