研究課題/領域番号 |
26461617
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河井 容子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60405248)
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研究分担者 |
池田 和幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30507786)
中村 明宏 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (50313854)
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60189602)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロテオミクス / 川崎病 / iTRAQ / 内皮細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は、iTRAQ法による非標識定量的プロテオミクス解析によりヒト冠状動脈内皮細胞とヒト大動脈内皮細胞の内皮細胞のプロテオームを比較した。検出された蛋白質のうち数十の蛋白質において、その発現量に両細胞間で有意な差異を認めたが、特にこの中には小胞体関連蛋白質が多くふくまれていた。量的差異が検出された蛋白質のいくつかについてウェスタンブロッティングによる検証を行い、Endoplasmin, ERp72, HYOU1等の小胞体蛋白質やclpastatin含量が両細胞間で大きく異なることが確認できた。現在、同定された蛋白質の検証を引き続き進めるとともに,in vitro系でこれらの細胞にツニカマイシン、ホモシステイン等で小胞体ストレスを負荷したときの応答について多角的に比較することにより、プロテオミクス解析で得られた知見のもつ生物学的意義について調べている。本研究を進める過程で冠動脈内皮細胞と大動脈内皮細胞細胞間で間で内皮細胞細胞膜糖の糖蛋白質であるCD31の電気泳動易動度にわずかな差異があることをを見いだした。エンドグリコシダーゼ F 処理により、いずれの細胞由来のCD31も低分子量化するが,両者の電気泳動易動度の差異は変化せず, 少なくともN-結合型糖糖鎖構造の違いによるものではないと考えられる。O-結合型糖糖鎖鎖および及びリン酸化の違いに起因するものであるかどうか、現在分析を分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いくつかの小胞体蛋白質の両細胞間の発現の差異がウェスタンブロットティングでも検証されたが、一方で、iTRAQ解析の結果とウェスタンブロッティングの結果が一致しない蛋白質も散見され、冠動脈傷害マーカーの候補としてして今後検討できるものは当初の予想よりもかなり少なくなる可能性がある。iTRAQ解析の結果については、より慎重な検証実験がさらに必要と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
iTRAQ解析の検証実験を早々に完了し、冠動脈傷害マーカー候補蛋白質を特定するとともに、川崎病患児血清および対照群となる非川崎病患児由来および健常児血清のサンプルの収集と分析の準備を進める。in vitro実験についてもこれと並行して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用期限が短かい内皮初代培養細胞専用培地は通常の培地と比べて今後購入頻度が高くなることが予想され、また一部の抗体についても今後汎用することが予想されるため、上記次年度使用額を確保した。
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次年度使用額の使用計画 |
初代内皮細胞専用培地等の細胞培養関連試薬および、プロテオミクス解析の結果を検証するため、小胞体関連蛋白質に対する抗体の購入に充てる予定である。
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