1. マウス肺動脈平滑筋細胞の初代培養細胞を用いたカルシウムイメージング 胎生18日マウス胎仔から摘出した肺動脈を酵素で分散し精製して得られた肺動脈平滑筋細胞(PASMC)の初代培養を5日間実施したのち、正常大気圧下または4%酸素濃度下で24時間培養後、蛍光Ca2+指示薬Fluo4-AMをロードして共焦点顕微鏡を用いてStore-operated Ca entry (SOC)を測定した。低酸素下で培養するとSOCが増加し、その効果は2型イノシトール三リン酸受容体(IP3R2)のノックアウトマウス由来のPASMCではさらに増強した。機序として、IP3R2とSTIM1- Orai1系との関連が示唆されたため、STIM1とOrai1のカップリング阻害薬であるDPB162-AEを投与し低酸素やIP3R2ノックアウトによるSOCの増加に対する効果を観察することを試みた。35 mm glass-bottom dishを用いて観察したが、途中Focus Driftのために蛍光観察が困難となった。顕微鏡システムを変更してFocus Driftは解決し、現在データを集積中である。 2. IP3R2ノックアウトマウス肺におけるアポトーシス活性 IP3R2ノックアウトマウスにおいて低酸素暴露により誘発された肺高血圧症の所見が増悪していた原因の一つとして、アポトーシス抵抗性の関与がないか検討した。野生型およびIP3R2ノックアウトマウスの肺切片を用いたTUNEL染色を行い、TUNEL陽性細胞の割合を比較したところ、ノックアウトマウスでTUNEL陽性細胞が少なくアポトーシス抵抗性が亢進していると考えられた。その機序として、IP3R2がbcl2を介したcytochrome cの放出を促進するという報告から、IP3R2ノックアウトマウスではアポトーシスが抑制される可能性があると考えられた。
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