長期低酸素暴露による肺高血圧症の程度を野生型と2型イノシトール三リン酸受容体(IP3R2)ノックアウト(KO)マウスで比較したところ、心エコーによる右心機能、右心室の相対的重量による右室肥大、肺組織切片における肺動脈中膜肥厚の全てにおいて、KOマウスでは肺高血圧症が増悪していた。 IP3R2は肺内では肺動脈平滑筋に特異的に発現しており、肺動脈平滑筋のアポトーシス抵抗性が亢進し、カルシウム流入分子の一つであるTRPc4の発現が上昇していた。さらに、単離肺動脈平滑筋細胞初代培養において、ストア感受性Ca2+流入活性が亢進しており、肺動脈性肺高血圧を増悪させている主な原因経路の一つと考えられた。
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