研究実績の概要 |
Candida Albicans Water Soluble Fraction (CAWS)のマウス腹腔内注射により惹起させるにより生じる川崎病類似血管炎はTNF受容体を阻害することで血管炎が抑制されることを証明していたが、TNFノックアウトマウスにおいても血管炎が抑制されることを確認した。以上からTNFパスウェイがCAWS血管炎形成には必須であることが証明された。一方、CAWS血管炎は抗IL-1β抗体およびIL-1β受容体阻害剤によっても抑制されることが判明した。このため、CAWS血管炎が惹起されるためにはIL-1βからTNFに至るパスウェイが必要であること、つまり自然免疫が血管炎発生に深くかかわることが証明された。 さらに、自然免疫に関わるNod-1リガンドにより川崎病類似血管炎が生じることが発表されており、CAWS血管炎とNod-1リガンドにより生じる血管炎のフェノタイプを比較した。CAWS血管炎は主に大動脈起始部を中心に冠動脈を含む血管炎像を呈していたが、Nod-1リガンドによる血管炎は両側冠動脈により強く発現していた。さらに、血漿中のサイトカインプロファイリングでは、CAWS血管炎はIL-6, IL-13, G-CSF, IFN-γ, TNF-αが有意に上昇しているのに対して、Nod-1リガンドによる血管炎では、IL-1α, IL-1β, IL-5、RANTESが有意に上昇していた。CAWSおよびNod-1リガンドは自然免疫の異常を通じて血管炎を惹起するが、活性化するシグナルによりサイトカインプロファイリングおよび血管炎の特異的部位が異なることが示された。
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