研究課題/領域番号 |
26461625
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
根本 慎太郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20237811)
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研究分担者 |
宇津野 秀夫 関西大学, 工学部, 教授 (00362442)
片山 博視 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30194781)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 肺循環診断 |
研究実績の概要 |
理論的に求められる閉塞度-位相角(圧力と流速の位相のずれを角度で表示)の関係と実測値からの関係の一致:一端に拍動加振器に接続した分枝なしチューブに圧-ドップラー血流速度同時測定ワイヤー(0.014 インチ)を組み込んだ圧力脈波伝搬回路を作成して、もう一端を閉塞させ、圧―血流速測定データから両者の位相角θを算出した。閉塞の無い場合のθは0°(位相が一致)、完全閉塞では-90°(位相が90°変位)であり、理論値に一致していた。よって位相角は閉塞度によって0°≧θ≧-90°の値を取ると推定された。 肺動脈シミュレーション回路を用いた実測検証:分枝を有する肺動脈を模した分枝付塩化チューブを用いた回路を用いて、実測値からの位相角θを算出した。閉塞枝数に応じて0°≧θ≧-90°の値を取ることを確認した。 臨床データからの位相角の算出(予備実験):患者に肺動脈に上記の測定ワイヤーを挿入し、実測値から位相角θを算出した(大阪医科大学倫理委員会承認)。正常肺循環症例でθ=2.1°、中等度肺高血圧症例でθ=48.4°、高度肺高血圧症例ではθ=60.1°であり、いずれも臨床状態を反映する数値が得られた。現時点では多くの臨床測定値からの位相角θ‐閉塞度の関係曲線を有していないため、実際に得られた位相角θに対応する閉塞度を提示することが出来ていない。しかしながら、肺動脈圧力と血流速度の位相差(位相角θ)を求めることで肺血管床の閉塞度を推定できる可能性が期待で出来た。 研究発表:国内関連学会で成果を報告した。多数の意見が寄せられた。 産業財産権:得られたデータを基にカテーテル測定による位相角算出法と用途を請求項目として平成26年12月19日に特許出願(特願2014-257189)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は、到達目標としていた、理論的に求められる閉塞度-位相角(圧力と流速の位相のずれを角度で表示)の関係と実測値からの関係の一致について肺動脈シミュレーション回路を用いて証明することが出来た。また平成28年度に計画していた臨床での実測データからの位相角θ算出がパイロット的に可能であることを実証可能であった。 得られた成果の一部を国内学会で発表するに至った。また、特許申請を最終年度の到達目標としていたが、得られたデータを基に平成26年度で行い得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の成果を邦文論文として早急に発表する。加えて国際特許出願(PCT出願)も考慮し、国際学会および英文誌での論文発表を行う。 実際の測定値から得られる位相角θに対応する閉塞度を確定することが可能となるためには、測定値からの位相角θ‐閉塞度の関係曲線を有することが必須である。平成27年度ではこの曲線作成のためにビーグル犬を用いた実験モデル(肺動脈内に圧-ドップラー血流速度同時測定ワイヤーを留置し、肺動脈閉塞度を可変)を予定していたが、モデル確立が困難であると予想された。よって患者造影CT画像から作成した3D肺動脈に補助心臓ポンプを接続したよりヒトに近い循環回路を用いる方法にモデル変更し、上記曲線の作成を行う計画とした。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出を計画していた肺動脈圧-血流測定値からの位相差計算プログラム作成費用が、外部発注から関西大学研究協力者により一部が実施されたため残金として計上された。
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次年度使用額の使用計画 |
この残金を平成27年度の研究計画での物品購入等で執行する計画である。
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