ヒトを含む哺乳類の胎児はタウリン合成能を殆ど持たず、母親から胎盤を介して与えられるタウリンに依存している。本研究においては胎児が低タウリン環境にさらされた場合に、脳発達がどのような影響を受けるかについて、特に脳の神経細胞を生みだす神経前駆細胞の性質制御の観点からマウスを用いて検討した。低タウリン状態では、神経前駆細胞が神経細胞を生みだす時期の遅延や生みだされる神経細胞種の変化が観察された。タウリンの受容体を胎児期に阻害すると、行動の変化が観察され、妊娠期低タウリン環境が仔の脳発達を阻害することが示された。
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