研究課題
本研究課題の目的は、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell: DFAT)を用いた周産期低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する新規治療法の開発を行うことである。26年度は、ラットHIEモデルにおいて、DFATを投与した後の急性期の障害マーカーの検討を行った。また、26年度途中からは、投与後の行動評価(学習障害、運動障害改善効果の確認)を行っている。生後7日齢ラットを用いHIEモデルを作製し、受傷6時間後、および24時間後にDFAT 10万個/100μlを外頸静脈から投与し、その24時間後に切片を作製し、免疫組織学的に各種傷害マーカーを評価した。受傷6時間後の投与では、治療効果を認めなかった。24時間後の投与では、活性化ミルクグリアのマーカーであるED-1陽性細胞数は、海馬において、コントロールに比べ、DFAT投与群では66%減少しており、また、アポトーシスマーカーのactive caspase-3陽性細胞は、コントロールに比べ、DFAT投与群では73%減少していた。DFAT投与により、急性期の傷害が抑えられることが示唆された。また、行動評価では、Novel object recognition test、Rotarod、Cylinder test、Shuttle avoidance test、Open field testを行っている。低酸素虚血による学習障害、運動障害をDFAT投与が改善させる結果が出つつあるが、現在詳細な解析を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
急性期の傷害マーカーの評価、行動評価など順調に進められている。
引き続き、行動評価を行う。また、行動評価後に脳組織を詳細に検討する。神経細胞培養系を用いた細胞死抑制評価も行う。
神経細胞培養系を用いた実験の開始が遅れ、神経栄養因子などの購入に充てていた予算が若干残った。
上記神経栄養因子など細胞培養に必要な試薬に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 4件)
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